有料職業紹介事業保証金規則の一部を改正する省令等の施行に伴う供託事務の取扱いについて 平成十一年十一月二十九日付け法務省民四第二五四六号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

有料職業紹介事業保証金規則の一部を改正する省令等の施行に伴う供託事務の取扱いについて
平成十一年十一月二十九日付け法務省民四第二五四六号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

(通達)職業安定法等の一部を改正する法律(平成一一年法律第八五号)、職業安定法施行令等の一部を改正する政令(平成一一年政令第三六九号)、職業安定法施行 規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成一一年労働省令第四五号)及び有料職業紹介事業保証金規則の一部を改正する省令(平成一一年法務省労働省令第二号)が本年一二月一日から施行されることとされたが、これに伴う供託事 務の取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう貴管下供託官に周知方取り計らい願いま す。
  なお、本通達中「改正法」とあるのは職業安定法等の一部を改正する法律を、「法」とあるのは職業安定法(昭 和二二年法律第一四一号)を、「改正令」とあるのは職業安定法施行令等の一部を改正する政令を、「令」とあるのは職業安定法施行令(昭和二八年政令第二四二号)を、 「規則」とあるのは職業安定法施行規則(昭和二二年労働省令第一二号)を、「保証金規則」とあるのは有料職業 紹介事業保証金規則(昭和六一年法務省労働省令第一号)をそれぞれ略称するものとし、引用する条文はすべて改正後のものです。
  おって、昭和六一年六月一二日付け民四第四六六六号本職通達(「有料職業紹介事業保証金規則等の施行に伴う供託事務の取扱いについて」)は、本通達によって廃止することとなるので、申し添えます。

第一 有料職業紹介事業に係る保証金の供託
一 法改正により、労働大臣の許可を受けて有料の職 業紹介事業を行う者は、新たに「有料職業紹介事業 者」ということとされた。有料職業紹介事業者は、 その事業所の最寄りの供託所に保証金を供託しなければならない(法第三二条の二第一項、規則第一九条第二項第一号)。
二 改正法施行の際、現に改正法による改正前の職業安定法第三二条第一項ただし書の許可を受けている者は、改正法施行の日に法第三〇条第一項の許可を受けた者とみなされるとともに、同じく改正前の職 業安定法第三二条第四項の規定により供託されている保証金は、その価額の限度で、法第三二条の二第一項の規定により供託されている保証金とみなすこととされた(改正法附則第二条第一項、第七条、改正令附則第二条)。
第二 保証金の額等
一 保証金の額は、一事業所につき三〇万円である (規則第一九条第一項)。
二 保証金に充てることができる有価証券及びその価額は、次のとおりである。
①保証金は、国債証券、地方債証券のほか、規則に定める次の有価証券(ただし、割引の方法により発行されるものを除く。)をもってこれに充てることができる(規則第一九条第二項第二号)。
 ア日本道路公団法、住宅・都市整備公団法、長期信用銀行法、農林中央金庫法等特別法に基づく法人が発行する債券。
 イ貸付信託受益証券。ただし、貸付信託法第二 条第二項に規定するものであって、受益証券に 係る貸付信託について元本を全額補てんする契約が締結されている信託約款に係るものに限る。
 ウ担保附社債信託法による担保附社債券及び法令により優先弁済を受ける権利を保証されている債券。ただし、自己の社債券及び商法による整理開始の命令を受けている会社等が発行した社債券を除く。
②保証金に充てることができる有価証券の価額は、 その額面金額である(規則第一九条第二項第三号)。
第三 保証金の不足額の供託
 供託されている保証金の額が、次の事由により供託すべき保証金の額に不足することとなったときは、 その不足額を供託しなければならない。
①規則第一九条第一項に定める保証金の額の改正があった場合において、その改正に係る規則の施行の際に供託されている保証金の額が当該改正により供託すべきこととなる保証金の額に不足することとなるときは、その不足額を追加して供託しなければならない(規則第一九条第二項第六号)。
②法第三二条の二第二項の権利を有する者がその権利を実行したために、保証金が規則第一九条第一項に定める額に不足することとなったときは、 その不足額を供託しなければならない(規則第一九条第四項第二号)。
第四 保証金の保管替え及び差替え
一 有料職業紹介事業者は、事業所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって保証金を供託しているときは、保管替えを請求しなければならない(規則第一九条第四項第二号)。
二 上記一の場合において、保証金の供託が金銭のみをもって行われていないときは、移転後の事業所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない (規則第一九条第四項第二号)。
第五 供託した保証金の還付
一 有料職業紹介事業者による法又はこれに基づく命令の違反によって損害を受けた者が、権利の実行のため、供託された保証金の還付を受けようとするときは、供託物の払渡請求をするに際し、保証金規則第一条に定める別記様式の通知書三通を供託所に提出しなければならない(法第三二条の二第二項、保証金規則第一条第一項)。 ただし、有料職業紹介事業者につき規則第一九条第四項第三号に規定する保証金の取戻事由が発生している場合において、その旨を証する書面を提出したときは、この限りでない。
  供託所は、供託物を還付したときは、提出された 通知書のうち二通を、所轄公共職業安定所長に送付しなければならない(保証金規則第二条)。
二 供託物の還付を受けようとする者が、供託物払渡 請求書に添付すべき供託規則第二四条第二号本文の還付を受ける権利を有することを証する書面は、労働大臣の確認に係る補償事実確認書に限る(保証金 規則第一条第二項、規則第一九条第三項)。
第六 供託した保証金の取戻し
一 有料職業紹介事業者であった者又はその相続人が、 規則第一九条第四項第三号に規定する保証金の取戻事由により供託された保証金の取戻しをしょうとするときは、保証金規則第四条第一項各号に定める事項を官報に公告しなければならない。ただし、保証金を取り戻すことができる事由が発生したときから一〇年を経過したときは、この限りでない(規則第一九条第四項第三号、保証金規則第四条第一項)。
二 供託物の取戻しをしょうとする者が、供託物払渡 請求書に添付すべき供託規則第二五条第二号本文の取戻しをする権利を有することを証する書面は、次のとおりである。
①保証金規則第四条第一項の公告をした場合において、当該公告に定める期間内に法第三二条の二第二項に規定する権利の申出書が提出されなかったときは、所轄公共職業安定所長の証明に係るその旨の証明書(保証金規則第六条第一項、第五条第一項)。
②上記①の場合において、権利の申出書が提出されたときは、申出書、所轄職業安定所長の証明に係る債権総額の証明書及び法第三二条の二第二項の権利が存在しないこと又は消滅したことを証する書面(保証金規則第六条第二号、第五条第二項)。
③規則第一九条第四項第三号に規定する保証金の取戻事由により供託物の取戻しをしょうとする場合において、供託物払渡請求の日が、当該取戻事由が発生したときから一〇年を経過しているときは、労働大臣又は都道府県知事の証明に係る保証金の取戻事由の発生したことを証する書面(保証金規則第六条第二号、規則第二七条、令第五条)。
④有料職業紹介事業者が、事業所を移転し、移転後の事業所の最寄りの供託所に新たに保証金の供託をした場合において、移転前の事業所の最寄りの供託所に供託をした供託物を取り戻すときは、新たに供託をした供託書正本又は供託証明書(規則第一九条第四項第二号、供託規則第九条の二第一項ただし書)。
⑤規則第一九条第一項に規定する保証金の額の改定があった場合において、供託している保証金の額が改正により供託すべきこととなる保証金の額を超えることとなったためにその超過額を取り戻すときは、供託規則第二五条第二号本文の取戻しをする権利を有することを証する書面の添付は要しない(規則第一九条第二項第七号)。