民事再生法等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて 平成十二年三月三十一日付け法務省民四第八〇二号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

民事再生法等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて
平成十二年三月三十一日付け法務省民四第八〇二号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

(通達)民事再生法(平成一一年法律第二二五号)、民事再生規則(平成一二年最高裁判所規則第三号)及び商業登記規則等の一部を改正する省令(平成一二年法務省令第二一号)が本年四月一日から施行されることとなったが、これに伴う商業・法人登記事務の取扱いについては、 下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう貴管下登 記官に周知方取り計らい願います。
  なお、本通達中、「法」とあるのは民事再生法を、「規則」とあるのは民事再生規則を、「商登法」とあるのは商業登記法を、「商登規」とあるのは商業登記規則を、「法登規」とあるのは法人登記規則を、「特登規」とあるのは特定目的会社登記規則を、「証登規」とあるのは証券投資法人登記規則をそれぞれいい、引用する条文は、すべて改正後のものです。

第一 民事再生手続の新設
一 目的
  法は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とするものである(法一条)。
二 再生手続開始の申立て
  債務者に破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるときは、債務者及び当該債務者の債権者は、裁判所に対し、再生手続開始の申立てをすることができることとされ、当該債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときは、債務者は、裁判所に対し、再生 手続開始の申立てをすることができることとされた (法二一条一項、二項)。
第二 民事再生手続に関する登記
一 監督命令の登記
(1)監督命令
  裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員による監督を命ずる処分(以下「監督命令」という。)をすることができることとされ、裁判所は、当該監督命令において、一人又は数人の監督委員を選任し、 かつ、その同意を得なければ再生債務者がすることができない行為を指定しなければならないこととされた(法五四条一項、二項)。監督命令は、.再生手続開始決定によっては効力を失わず、また、 再生手続開始決定後であってもすることができる。 また、法人も監督委員となることができることとされた(法五四条三項)。
  監督委員が法第五四条第二項の規定により指定された行為につき同意をしなかった場合は当該行為は無効とされ、また、再生手続開始決定があった場合には、裁判所は、監督委員に対して、特定の行為について否認権を行使する権限を付与することができることとされ(法五六条一項)、監督 委員は、当該権限行使に関し必要な範囲内で、再生債務者のために、財産の管理及び処分をすることができることとされた(法五六条二項)。
(2)登記の鳴託.
  法人である再生債務者について監督命令がされた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、.その登記を当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条二項)。また、監督命令の変更若しくは取消しがあった場合又は当該監督命令の登記における登記事項に変更が生じた場合にも、 裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、その旨の登記を当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条四項、二項)。これらの登記の嘱託は、監督命令の登記の嘱託にあっては嘱託書に当該監督命令の決定書の謄本を添付して、監督命令の変更又は取消しの登記の嘱託にあっては嘱託書に当該監督命令の変更又は取消しの決定書の謄本を添付してしなければならないこととされた(規則七条一項二号、三号)。
  この登記については、登録免許税を課さない (法一四条)。
(3)登記の記載監督命令の登記の記載は、別紙記載例1による (商登規一一八条の三第一項、法登規九条、特登規四条、証登規四条)。
  なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所においては、監蒼命令の登記を役員区に記録しなければならない(商登規別表第五から第八まで、法登規別表、特登規別表、証登規別表)。
二 保全管理命令の登記
(1)保全管理命令
  裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合又は再生手続開始の申立てを棄却する決定に対して法第三六条第一項の即時抗告があった場合に、 利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立て又は即時抗告につき決定があるまでの間、法人である再生債務者の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分(以下「保全管理命令」という。)をすることができることとされ、裁判所は、当該保全管理命令において、一人又は数人の保全管理人を選任しなければならないこととされた(法七九条一項、二項、三項)。 また、法人も保全管理人となることができることとされた(法八三条、五四条三項)。
  保全管理命令が発せられたときは、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属することとされた(法八一条一項)。
(2)登記の嘱託
  再生債務者について、保全管理命令がされた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、保全管理命令の登記を当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条二項)。また、当該保全管理命令の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全管理命令の登記における登記事項に変更が生じた場合にも、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、その旨の登記を当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条四項、二項)。これらの登記の嘱託は、保全管理命令の登記の嘱託にあっては嘱託書に当該保全管理命令の決定書の謄本を添付して、保全管理命令の変更又は取消しの登記の嘱託にあ.っては嘱託書に当該保全管理命令の変更又は取消しの決定書の謄本を添付してしなければならないこととされた(規則七条一項二号、三号)。
  この登記については、登録免許税を課さない (法一四条)。
(3)登記の記載
 保全管理命令の登記の記載は、別紙記載例2による(商登規一一八条の三第一項、法登規九条、 特登規四条、証登規四条)。
  なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所においては、保全管理命令の登記を役員区に記録しなければならない(商登規別表第五から第八まで、法登規別表、特登規別表、証登規別表)。
三 再生手続開始の登記
(1)再生手続開始決定
 裁判所は、再生手続開始の申立てがあったときは、法第二五条の規定により棄却すべき場合を除き、再生手続開始の決定をすることとされ(法三三条一項)、再生手続開姶の決定は、その決定の時から、効力を生ずることとされた(法三三条二項)。
  なお、再生手続開始決定に対しては、即時抗告.をすることができることとされ(法三六条一項)、 当該裁判所が抗告を理由あるものと認め当該開始決定を取り消す旨に更正するか(民事訴訟法三三三条)、又は抗告審が開始決定を取り消し、これらの決定が確定したときは、抗告に係る再生手続 開始決定は遡って効力を失うこととなる。
(2)登記の嘱託
  法人である再生債務者について再生手続開始の決定があったときは、裁判所書記官は、職権で、 遅滞なく、再生手続開始の登記を当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条一項)。また、再生手続開始決定の取消しの決定が確定したときも、同様とされた(法一一条五項一号)。 この再生手続開始の登記又は再生手続開始決定の取消しの登記の嘱託は、嘱託書に再生手続開始又は再生手続開始決定の取消しの決定書の謄本を添付してしなければならないこととされた(規則七条一項一号、四号)。
  この登記については、登録免許税を課さない(法一四条)。
(3)登記の記載
ア 再生手続開始の登記の記載は、別紙記載例3による。また、登記官は、再生手続開始の登記をするときは、保全管理命令の登記を朱抹しなければならず(商登規一一八条の三第二項、法登規九条、特登規四条、証登規四条)、当該再生 債務者につき整理開始又は特別清算開始の登記があるときは、職権で、その登記を抹消しなければならないこととされた(法一一条六項)。
イ 再生手続開始決定の取消しの登記の記載は、 別紙記載例4による。また、登記官は、再生手続開始決定の取消しの登記をするときは、再生手続開始の登記、監督命令の登記、管理命令の登記を朱抹しなければならず(商登規一一八条の三第二項、法登規九条、特登規四条、証登規四条)、再生手続開始の登記をするときに、職権で抹消した整理開始又は特別清算開始の登記があるときは、職権で、その登記を回復しなければならないこととされた(法一一条七項)。
ウ なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所においては、これらの登記を登記記録区に記録しなければならない(商登規別表第五から第八まで、法登規別表、特登規別表、証登規別表)。
四 管理命令の登記

(1)管理命令
  裁判所は、再生手続の開始の決定と同時に又はその決定後、利害関係人の申立てにより又は職権で、法人である再生債務者の業務及び財産に関し、 管財人による管理を命ずる処分(以下「管理命令」という。)をすることができることとされ、裁判所は、当該管理命令において、一人又は数人の管財人を選任しなければならないこととされた (法六四条一項、二項)。また、法人も管財人となることができることとされた(法七八条、五四条三項)。
  管理命令が発せられたときは、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、 管財人に専属することとされた(法六六条一項)。
(2)登記の嘱託
  再生債務者について、管理命令がされた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、管理命令の登記を当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条二項)。また、当該管理命令の変更若しくは取消しがあった場合又は当該管理命令の登記における登記事項に変更が生じた場合にも、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、その旨の登記を当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条四項、二項)。これらの登記の嘱託は、管理命令の登記の嘱託にあっては嘱託書に当該管理命令の決定書の謄本を添付して、管理命令の変更又は取消しの登記の嘱託にあっては嘱託書に当該管理命令の変更又は取消しの決定書の謄本を添付してしなければならないこととされた(規則七条一項二号、三号)。
  この登記については、登録免許税を課さない(法一四条)。
(3)登記の記載
  管理命令の登記の記載は、別紙記載例5による(商登規一一八条の三第一項{法登規九条、.特登規四条、証登規四条)。
  なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所においては、管理命令の登記を役員区に記録しなければならない(商登規別表第五から第八まで、法登規別表、特登規別表、証登規別表)。
五 法人継続の登記
(1)法人継続
  清算中の法人である再生債務者について再生手続が開始された場合において、再生計画案が可決されたときは、社団法人にあっては定款の変更に関する規定に従い、財団法人にあっては主務官庁の認可を得て、法人を継続することができることとされた(法一七三条一項)。
(2)添付書面
  申請書に添付すべき書面は、株式会社にあって.は株主総会議事録を(商登法七九条一項)、民法上の社団法人にあっては社員総会議事録及び主務官庁の認可書の謄抄本、財団法人にあっては主務官庁の認可書の謄抄本(非訟事件手続法一二一条)である。
(3)登記の記載
  法人継続の登記をするときは、登記官は、解散及び清算人の登記を朱抹しなければならない(商登規七五条一項、法登規九条、特登規四条、証登規四条)。
  なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所に.おいては、再生債務者が合名会社、合資会社、株式会社、有限会社、特定目的会社である場合は、会社履歴区に記録し(商登規別表第五から第八まで、特登規別表)、再生債務者が証券投資法人である場合は、法人履歴区に記録し(証登規別表)、再生債務者がそれ以外の法人である場合は、その他の事項区に記録しなければならない(法登規別表)。
六 再生計画認可等の登記
(1)再生計画認可等
  裁判所は、再生計画案が可決された場合は、法第一七四条二項各号に該当する事由がないときは再生計画認可の決定を行い、同項各号に該当する事由があるときは再生計画不認可の決定をすることとされた(法一七四条一項)。また、再生計画認可の決定が確定したときは、監督委員又は管財人が選任されている場合を除き、再生手続終結の決定をしなければならないこととされた(法一八八条一項)。
(2)登記の嘱託
  法人である再生債務者につき再生計画認可又は不認可の決定が確定した場合には、裁判所書記官は、その登記を、職権で、遅滞なく、当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条五項、一項)。これらの登記の嘱託は、嘱託書に当該決定の決定書の謄本を添付してしなければならないこととされた(規則七条一項四号)。
  また、当該再生債務者について再生計画不認可の決定が確定した場合において、法第一六条第一項の規定により、裁判所が破産宣告をしたときは、 再生計画不認可の登記の嘱託は、破産の登記の嘱託とともにしなければならないこととされ(規則七条三項)、再生計画認可の登記の嘱託は、監督委員又は管財人が選任されている場合を除き、再生手続の終結の登記の嘱託とともにしなければならないこととされた(規則七条二項)。
  これらの登記については、登録免許税を課さない(法一四条)。
(3)登記の記載
  これらの決定の確定に基づく登記に関する登記の記載は、別紙記載例6又は7による。
  また、登記官は、再生計画不認可の登記を記載するときは、再生手続開始の登記、監督命令及び管理命令に関する登記を朱抹しなければならない (商登規一一八条の三第二項、法登規九条、特登規四条、証登規四条)。 なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所においては、これらの登記を登記記録区に記録しなければならない(商登規別表第五から第八まで、法登規別表、特登規別表、証登規別表)。
七 再生計画による資本減少及び発行する株式の総数の変更の登記
 再生計画において資本の減少を定めたときは、株式会社である再生債務者は、認可された再生計画の定めにより資本の減少をすることができることとされ、また、再生計画において再生債務者が発行する株式の総数について定款を変更することを定めたときは、当該再生債務者の定款は、再生計画認可の決定が確定したときに再生計画の定めによって変更されることとされた(法一八三条三項)
 株式会社である再生債務者が再生計画の定めにより資本の減少を行ったときは、本店所在地にあっては二週間内に、支店所在地にあっては三週間内に、資本の減少による変更登記を申請しなければならない(商法一八八条二項六号、三項、六七条)。
  また、再生計画の定めにより再生債務者が発行する株式の総数について定款が変更されたときは、本店所在地にあっては二週間内に、支店所在地にあっては三週間内に、発行する株式の総数の変更による変更登記を申請しなければならない(商法一八八条 二項一号、三項、六七条)。
  これらの登記の申請書には、再生計画認可の決定書の謄本又は抄本を添付しなければならない(法一八三条四項)。
八 再生手続廃止の登記及び再生計画取消しの登記
(1)再生手続廃止及び再生計画取消し
  裁判所は、法第一九一条から第一九四条までに規定する場合は、再生手続廃止の決定をしなければならず、又はすることができることとされ、法第一八九条一項各号に該当する場合は、再生計画取消しの決定をすることができることとされた。
(2)登記の嘱託法人である再生債務者につき、再生手続廃止又は再生計画取消七の決定の確定(再生手続終了前に限る。)があった場合には、裁判所書記官は、その登記を、職権で遅滞なく当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならたいこととされた(法一一条五項、一項)。これらの登記の嘱託は、嘱託書に当該決定の決定書の謄本を添付してしなければならないこととされた(規則七条一項四号)。
  また、当該再生債務者について、再生手続廃止又は再生計画取消しの決定が確定した場合において、法第一六条第一項又は第三項の規定により、 裁判所が破産宣告をしたときは、再生手続廃止、 再生計画取消しの登記の嘱託は、破産の登記の嘱託とともにしなければならないこととされた(規 則七条三項)。
  これらの登記については、登録免許税を課さない(法一四条)。
(3)登記の記載
  再生手続廃止、再生計画取消しの登記の記載は、 別紙記載例8又は9による。
  また、登記官は、再生手続廃止又は再生計画取消しの登記を記載するときは、再生手続開始の登記、再生計画認可の登記、監督命令及び管理命令の登記を失抹しなければならない(商登規一一八条の三第二項、法登規九条、特登規四条、.証登規四条)。
  なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所においては、この登記を登記記録区に記録しなければなちない(商登規別表第五から第八まで(法登規別表、特登規別表、証登規別表)。
九 再生手続終結の登記
(1)再生手続終結裁判所は、再生計画認可の決定が確定したときは、監督委員又は管財人が選任されている場合を除き、再生手続終結の決定をしなければならないこととされた(法一八八条一項)。また、監督委員が選任されている場合においては、再生計画が遂行されたとき、又は再生計画認可の決定が確定した後三年を経過したときに、管財人が選任されている場合においては、再生計画が遂行されたとき、 又は再生計画がされることが確実であると認めるに至ったときに、再生手続終結の決定をしなければならないこととされた(法一八八条二項、三項)。

(2)登記の嘱託
  法人である再生債務者につき再生手続終結の決定による再生手続の終結があった場合には、裁判所書記官は、その登記を、職権で遅滞なく当該再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならないこととされた(法一一条五項、一項)。これらの登記の嘱託は、嘱託書に当該決定の決定書の謄本を添付してしなければならないこととされた(規則七条一項四号)。
  また、再生計画認可の登記の嘱託は、監督委員又は管財人が選任されている場合を除き、再生手続の終結の登記の嘱託とともにしなければならないこととされた(規則七条二項)。
  この登記については、登録免許税を課さない(法一四条)。
(3)登記の記載
  再生手続終結の登記の記載は、別紙記載例10による。
  また、登記官は、再生手続終結の登記を記載するときは、再生手続開始の登記、再生計画認可の登記、監督命令及び管理命令の登記を朱抹しなければならない(商登規一一八条の三第二項、法登規九条、特登規四条、証登規四条)。
  なお、電子情報処理組織により事務を取り扱う登記所においては、再生手続終結の登記を登記記録区に記録しなけれぽならない(商登規別表第五から第八まで、法登規別表、特登規別表、証登規別表)
一〇 その他
(1)管財人及び保全管理人の印鑑の届出
  管理命令により選任された管財人及び保全管理命令により選任された保全管理人(法人にあっては、その代表者のうち当該管財人又は保全管理人の職務を行うべき者として指名された者)は、印鑑を登記所に提出して、印鑑証明書の交付を請求することができることとされた(商登法一二条一項)。
(2)再生債務者の代表者の登記事項に関する証明書等の交付
  再生債務者に再生手続開始決定、監督命令、管理命令又は保全管理命令があったときでも、当該代表取締役等の印鑑証明書及び代表者事項証明書(商登規一一一条一項四号)は、交付することができる。
  再生債務者に再生手続開始決定、再生計画認可決定、監督命令、管理命令又は保全管理命令があったときは、印鑑証明書、代表者事項証明書、 登記簿抄本又は登記事項若しくは登記簿の抄本の記載事項に変更がないことの証明書には、認証文の次に「民事再生法による再生手続開始決定の登記(又は再生計画認可決定、監督の命令、管理の命令、保全管理の命令)がある。」旨を付記する。
(3)更生計画認可の登記
  登記所は、会社更生法第二〇条第一項の規定に基づく更生計画認可の登記をする場合において、 当該会社について再生手続開始の登記があるときは、職権でその登記を抹消しなければならないこととされ(会社更生法二〇条四項、二項)、更生計画認可の取消しの登記をするときに、更生計画認可の登記により職権で抹消した再生手続開始の登記がある場合は、職権でその登記を回復しなければならないこととされた(会社更生法二〇条四項、三項)。

第三 和議法及び特別和議法の廃止経過措置

一 和議法及び特別和議法の廃止
  法附則第二条の規定により、和議法(大正一一年 法律第七二号)及び特別和議法(昭和二一年法律第四一号)は廃止された。
二 廃止に伴う経過措置
  法施行前にされた和議開始の申立てに係る和議事件については、なお従前の例によることとされた (法附則三条)。したがって、法施行前にされた和議開始の申立てに係る和議事件に係る和議手続に関する登記手続については、従前の法令が適用される。
  また、登記官は、再生手続開始決定の登記をしたときは、和議開始の登記を職権で抹消しなければならない(法附則三条、法一一条六項)。

別紙記載例[PDF] bessi_kisairei