商品取引所法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて
平成十一年三月二十九日付け法務省民四第六〇二号民事局長通達
(通達)商品取引所法の一部を改正する法律(平成一〇年法律第四二号。以下「改正法」という。)及び商品取引所法施行令の一部を改正する政令(平成一一年政令第八○号。以下「改正政令」という。)が本年四月一日から施行されることとなったが、これに伴う法人登記事務の取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう、この旨貴管下登記官に周知方取り計らわれたい。
なお、本通達中、「法」とあるのは商品取引所法を、「組登令」とあるのは組合等登記令をそれぞれいい、引用する条文は、すべて改正後のものである。
記
一 商品先物取引協会制度の創設 商品先物取引協会とは、商品市場における取引の受託等を公正かつ円滑ならしめ、かつ、委託者の保護を図ることを目的として(法一三六条の三六第一項)、法の定めるところにより設立された法人をいう(同条二項)。
二 名称使用制限 商品先物取引協会でない者は、その名称中に商品先物取引協会であると誤認されるおそれのある文字を用 いてはならない(法一三六条の三九第一項)。ただし、改正法施行の際現にその名称中に商品先物取引協会であると誤認されるおそれのある文字を用いている者については、この規定は、改正法の施行後六月間は、適用しない(改正法附則七条)。
三 商品先物取引協会の登記
(1) 登記に関する法令の整備
改正政令により組登令の一部が改正され、同令の別表一に新たに商品先物取引協会が掲げられたことから(改正政令附則三条)、商品先物取引協会に関する登記については、他の法令に別段の定めがある場合を除くほか、組登令によることとされた(組登令一条参照)。
(2) 登記の効力
商品先物取引協会は、組登令で定めるところにより、登記しなければならない(法一三六条の五八第一項、組登令一条、別表一)。 登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない(法一三六条の五八第三項)。ただし、設立については、登記によって効力が生ずる(同条二項)。
(3) 登記すべき事項
商品先物取引協会は、組登令第二条第一号から第五号までに定める事項のほか、代表権の範囲又は制限があるときは、その定め及び資産の総額を登記しなければならない(組登令二条、同令別表一)。
(4) 添付書面
設立及び定款の変更については、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない(法一三六条の四〇、一三六条の四四第一項)。したがって、設立及び定款の変更を要する登記事項の変更の登記の申請書には、主務大臣の認可書を添付しなければならない(組登令二五条、商業登記法一九条)。
四 商品取引員協会に関する経過措置
(1) 商品取引員協会が商品先物取引協会となるための手続
法公布の際既に改正法による改正前の商品取引所法第五四条の三第一項に規定する商品取引員協会(民法第三四条に規定する法人)が設立されている場合においては、当該商品取引員協会は、法の規定による商品先物取引協会となるため、施行日前においても、法第一三六条の四一(定款記載事項)及び第一三六条の四四(定款等の変更)の例により、定款を変更し、主務大臣の認可を受けることができる(改正法附則八条一項)。この認可を受けた定款の変更は改正法の施行日にその効力を生ずるものとされた(同条四項)。
(2) 商品取引員協会が商品先物取引協会となるための登記
(1)により商品取引員協会が商品先物取引協会となるための定款の変更の認可を受けたときは、改正法の施行日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、商品取引員協会については解散の登記、商品先物取引協会については組登令第三条に定める登記をしなければならない(改正政令附則二条一 項)。商品取引員協会についてする解散の登記と商品先物取引協会についてする設立の登記の申請は、同時にしなければならない(同条四項、商業登記法七三条一項)。これらの登記は商品先物取引協会を代表すべき者の申請によってしなければならない(改正政令附則二条四項、商業登記法五五条一項)。
この場合の商品先物取引協会の設立登記の申請書には、定款、代表権を有する者の資格を証する書面、代表権の範囲又は制限があるときは、その定めを証する書面、資産の総額を証する書面及び改正法附則第八条第一項の定款変更に係る主務大臣の認可書を添付しなければならないが(改正政令附則二条二項、四項、商業登記法一九条)、商品取引員協会の解散の登記の申請書には、添付書面は必要でない(改正政令附則二条四項、商業登記法七三条二項)。 登記官は、この場合の商品取引員協会の解散の登記をしたときは、その登記用紙を閉鎖しなければならない(改正政令附則二条三項)。
五 その他
商品先物取引協会は、その名称中に商品先物取引協会という文字を用いることを強制されていない。したがって、商品先物取引協会の設立の登記等の申請において、申請書に記載された名称中に商品先物取引協会の文字が用いられていなくても、登記申請書及び添付書面から、その法人が商品先物取引協会であることが明らかであれば、受理して差し支えない。