債権管理回収業に関する特別措置法の施行に伴う登記事務の取扱いについて
平成十一年一月二十七日付け法務省民四第一三七号法務局民事行政部長、地方法務局長あて民事局第四課長通知
(通知)債権管理回収業に関する特別措置法(平成一〇 年法律第一二六号。以下「法」という。)が本年二月一日 から施行されることとなったが、これに伴う登記事務の 取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾 のないよう、この旨貴管下登記官に周知方取り計らわれ たい。
記
一 債権回収会社制度の創設
弁護士以外の者が債権回収業務等を業として行うこ とは禁止されているが(弁護士法第七二条)、法施行 後においては、法の定める要件を満たす債権回収会社 に限り、債権の管理回収業を行うことができることと された。
法において債権回収会社とは、債権回収業を行うこ とを目的とし、当該業務を行うことについて法務大臣 の許可を受けた株式会社であり(法二条三項、三条)、 債権回収業とは、弁護士以外の者が委託を受けて法律 事件に関する法律事務である特定金銭債権の管理及び 回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、 和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回 収を行う営業をいう(法二条二項)。
なお、特定金銭債権とは、預金保険法第二条第一項 に規定する金融機関等が有する貸付債権等をいう(法 二条一項)。
債権回収会社は、その商号中に債権回収という文字 を用いなければならず(法一三条一項)、債権回収会 社でない者は、その商号中に、債権回収会社であると 誤認されるおそれのある文字を用いてはならないこと とされた(法一三条二項)。
二 債権回収会社の登記
①設立の登記等
債権回収会社を設立する場合又は既存の株式会社 が債権回収会社となるには、次の要件を満たさなけ ればならないこととされた。
ア株式会社であること(法三条)
イ商号中に債権回収という文字を使用すること (法一三条一項)
ウ特定金銭債権の管理回収業務を目的とすること (法一二条)
したがって、これらの要件を満たさない登記の申 請は、受理することができない。
なお、債権回収会社となる場合の法務大臣の許可 は、効力要件ではないので、法務大臣の許可書は、 設立等の登記の申請書に添付することを要しない。
②変更の登記
債権回収会社の変更の登記は、一般の株式会社の 登記と同じであるが、債権管理回収業の廃止による 商号及び目的の変更の登記をした以後である場合等 を除き、二の①のアからウまでの要件を欠くことと なる変更の登記はできない。
③合併の登記
債権回収会社の合併は、法務大臣の認可を受けな ければその効力を生じないことから、合併の登記申 請書には、法務大臣の認可書を添付しなければなら ない(法八条二項、商業登記法一九条)。この場合に おいて、合併後存続する会社又は合併により設立さ れる会社が債権回収会社である場合は、当該会社は、 二の①のアからウまでの要件を満たす会社でなけれ ばならない(法九条参照)。
④その他
債権回収会社の業務は、特定金銭債権の管理及び 回収等であるから(法一条、二条)、これら以外の債 権の回収業務等を目的とすることはできない。