民法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて 平成12年3月31日民四第804号法務省民事局長通達

民法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて
平成12年3月31日民四第804号法務省民事局長通達

(通達)
  民法の一部を改正する法律(平成一一年法 律第一四九号。以下「民法改正法」という。)、 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成一一年法律第一五一号。以下「整備法」という。)及び商業登記規則等の一部を改正する省令(平成一二年法務省令第二一号)が本年四月一日から施行されることとなったが、これに伴う商業登記事務の取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう貴管下登記官に周知方取り計らい願います。
  なお、本通達中、「商登法」とあるのは商業登記法を、「商登規」とあるのは商業登記規則をそれぞれいい、引用する条文は、すべて改正後のものです。

一 成年後見制度の新設

(1)家庭裁判所は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、後見開始の審判をすることができることとされ(民法七条)、後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人として成年後見人の後見を受けることとされた(民法八条)。
  また、家庭裁判所は、後見開始の原因が消滅したときは、後見開始の審判を取り消すこととされた(民法一〇条)。

(2)未成年者に対する後見が開始したときの当該未成年者を未成年被後見人とし、 当該未成年者の後見人を未成年後見人とすることとされた(民法一〇条、七九四条)。

(3)なお、改正前の民法の規定による禁治産の宣告を受けた禁治産者及びその後見人は、改正後の民法の規定により後見開始の審判を受けた成年被後見人及びその成年後見人とみなすこととされた(民法改正法附則三条一項)。

二 後見人の登記

(1)従前の登記用紙
 後見人の登記においては、無能力者の氏名及び住所が登記すべき事項とされていたが、整備法により、被後見人の氏名及び住所が登記すべき事項とされた(商登法四八条一項)。
 被後見人の氏名及び住所は、「被後見人の氏名及び住所」欄に記載しなければならず(商登規三九条一項、附録第三号)、 電子情報処理組織による事務を取り扱う登記所においては、これらの事項は、登記記録の後見人区に記録しなければならない(商登規別表第三)。
  改正省令施行の際現に存する登記用紙は、新様式による登記用紙とみなすこととする。

(2)申請人
  未成年被後見人が成年に達したことによる消滅の登記又は成年被後見人について後見開始の審判が取り消されたことによる消滅の登記の申請は、当該被後見人であった者がすることができる(商登法 四九条二項)。

(3)添付書類
  未成年被後見人が成年に達したことによる消滅の登記の申請書には、未成年被後見人が成年に達したことを証する書面を添付し、成年被後見人について後見開始の審判が取り消されたことによる消滅の登記の申請書には、成年被後見人について後見開始の審判が取り消されたことを証する書面を添付しなければならない(商登法五〇条一項)。