供託規則の一部改正に伴う供託事務の取扱いについて 平成十年十一月二十六日付け法務省民四第二〇九八号民事局長、法務大臣官房会計課長通達

供託規則の一部改正に伴う供託事務の取扱いについて
平成十年十一月二十六日付け法務省民四第二〇九八号民事局長、法務大臣官房会計課長通達

(通達)供託規則の一部を改正する省令(平成一〇年法 務省令第五〇号)が本日公布され、一本年一二月一日から 施行されることとなりましたので、これに伴う供託事務 の取扱いについては、供託金の取扱いに関する法令及び通達に定めるところによるほか、下記により実施されたく、この旨貴管下供託官に周知方取り計らい願います。

第一 預金口座の設置等

一 預金口座の設置
供託法第一条の供託所は、供託規則第二〇条の二 の規定により供託金を受け入れるため、預金口座に開設することができる。この場合の手続等は、二か ら七までに定めるところによる。

二 預金口座を開設する金融機関の指定
法務局又は地方法務局の長は、銀行その他の金融機関と所要の協議をした上で、預金口座を開設する銀行その他の金融機関(以下「口座銀行」という。) を指定する。

三 口座銀行の指定の基準
  二の口座銀行の指定は、次に掲げる基準による。
(1) 供託所の保管金取扱店(以下「供託金取扱店」 という。)が日本銀行の本店又は支店であるとき は、その本店又は支店との間に当座取引のある銀行(銀行法(昭和五六年法律第五九号)第二条に規定する銀行をいう。以下同じ。)又は金庫(信用金庫法(昭和二六年法律第二三八号)第四条に規定する免許を受けた金庫をいう。以下同じ。)のうち、原則として、当該供託所最寄りの日本銀行の一般代理店(以下「代理店」という。)の事務を取り扱う店舗を有する銀行又は金庫とする。 ただし、日本銀行国庫金取扱規程(昭和一三年大蔵省令第九三号)第二条の二に規定するところにより供託所に派出して供託金の収納を行ってい る銀行があるときは、当該派出元の銀行とするこ とができる。
(2) 供託金取扱店が日本銀行の代理店であるときは、 原則として、その代理店の事務を取り扱う銀行又は金庫とする。

四 預金口座の開設
預金口座は、供託官たる歳入歳出外現金出納官吏 (以下「出納官吏」という。)が次に定めるところにより、二の指定を受けた口座銀行に開設する。
(1) 預金口座の種別は、当座勘定預金口座とする。
(2) 口座名義は、「○○法務局若しくは○○地方法務局又はその支局若しくは出張所歳入歳出外現金出納官吏官職氏名」とする。
(3) 振込依頼書の受取人欄の口座名の表記は、別表 のとおりとし、口座銀行に簡略使用の届出をする。
(4) 使用する印鑑は、出納官吏の公印とする。

五 取引関係の通知等
(1) 出納官吏は、預金口座の開設に当り、口座銀行 の定める当座預金印鑑票等の書類を口座銀行へ送付しなければならない。
(2) 口座銀行が取引関係通知書を定めないときは、 出納官吏は、口座銀行に対し、別紙様式第1によ る取引関係通知書を送付するものとする。
(3) 取引関係通知書等を送付した後に当該通知事項 に変更を生じたときは、出納官吏は、直ちに、その旨を口座銀行に通知する。

六 預金口座の廃止、変更
(1) 法務局又は地方法務局の長は、二の口座銀行の指定を変更することができる。
(2) 出納官吏は、(1)により口座銀行の指定が変更されたときは、変更前の預金口座を廃止し、変更後 の口座銀行に、新たに預金口座を開設する。

七 預金口座の使途
預金口座は、次に掲げる場合に用いる。
(1) 供託者が供託金を提出すべき場合において、預金口座に振り込みの方法によって供託金を提出するとき。
(2) 出納官吏が口座銀行から組戻依頼を受けた旨の通知を受けた場合において、出納官吏から口座銀行に対して承諾の通知をして、口座銀行において預金口座から振込金を組み戻すとき。
(3) 出納官吏が供託金取扱店に開設した口座(以下 「供託所口座」という。)に、口座銀行が供託金を払い込む場合において、預金口座から所要額を払 い出すとき。
(4) その他、供託金につき出納官吏が出納官吏事務規程(昭和二二年大蔵省令九五号)第三条ただし書に規定する保管の形態として、預金口座を用い る必要があるとき。

第二 報告

法務局又は地方法務局の長は、供託規則第二〇条の二の規定により供託金の受入れを取り扱おうとする管下の供託所において、預金口座を置いたときは、速やかに民事局長あてに報告をしなければたらない。
この報告は、別紙様式第2による書面によるものとする。

第三 供託金の受入れ

一 供託金の受入手続
供託官が預金口座への供託金を振り込みを受ける方法により供託金を受け入れようとするときは、次に定める手続による。
(1) 供託官は、預金口座に供託金を振り込む方法によって金銭の供託をしょうとする者に対し、その手続を説明する。
(2) 供託官は、預金口座へ供託金を振り込む方法によって金銭の供託をしょうとする者に対し、後記 二(5)ウにより供託者に供託書正本を送付するため、 供託規則第一三条に定める書式による正副二通の供託書に、供託者の選択に従い、普通郵便、書留郵便、配達証明郵便等の方法に相当する額の郵券 を付した封筒を添付して供託所へ提出することを求める。 ただし供託者の求めにより、供託所において 供託書正本を交付する場合には、この限りでない。
(3) 供託官は、供託を受理すべきものと認めるときは、供託書正本に供託を受理する旨、供託番号及び受理の年月日を記載して、記名押印し、供託書副本の該当欄には、受理年月日を記載して認印を押しさらに振込期限を記載した上、これらを保管する。
(4) 供託官は、供託を受理する決定をした後、別紙様式第3による「振込依頼書」を供託者に交付す る。
供託官は、振込依頼書中の「振込先金融機関」 欄に金融機関名を、「受取人」欄に口座番号及び 口座名を、「供託番号」欄に供託番号を、「金額」 欄に供託金額をそれぞれ記載する。
(5) 供託規則第二〇条の二第二項の規定による告知 は、振り込み期日までに供託金を預金口座へ振り込むべき旨及び期日までに入金されないときは受 理の決定は効力を失う旨を記載した別紙様式第4による書面を交付して行う。
(6) 振り込み期日は、供託を受理した日から一週間以後の日でなければならない。ただし、法令の規定により供託の期日が定められているときには、 この限りでない。
(7) 供託者から申出があった場合には、供託官は、複数の供託に係る供託金を一括して預金口座に振 り込む方法により提出させることができる。この場合には、供託官は、振込依頼書の「供託番号」 欄に「年度-最初の番号-最後の番号」を記載する。
(8) 供託官は、振り込み期日前に供託者から振込依頼書を紛失した等の申出があったときには、振込依頼書を再発行することができる。

二 供託金の受入確認等に関する事務
(1) 出納官吏は、別紙様式第5による当座預金出納薄及び供託金入金通知書つづり込帳を備えなければならない。
(2) 出納官吏は、供託者が供託金相当額の現金を預金口座に振り込んで入金したときには、口座銀行から、入金年月日、振込依頼人の氏名、供託番号、 金額その他の振込入金の事実を特定するために必要な事項について、ファクシミリ等を用いて、適宜の様式の書面により通知を受ける。
(3)(2)の通知書は、供託金入金通知書つづり込帳に 編てつする。 出納官吏は、(2)の通知を受けたときは、当座預金出納簿の「入金」欄に入金日をもつて当日分の入金額を記載する。
(4) 供託官は、(2)の通知書の内容を直ちに金銭供託元帳及び供託書と対査照合し、預金口座へ入金さ れた金額が供託金として受け入れるべきものであ ることを確認する。
(5) 供託官が預金口座へ入金された金額につき供託金として受け入れるべきものであることを確認したときの手続は、次に定めるところによる。
ア 出納官吏は、預金口座への入金日をもって、当座預金出納簿の「受入」欄に受入金額を記入するとともに、現金出納簿の「受」の「現金」欄に受入れの記載をする。
イ 係員は、供託書副本及び金銭供託元帳に預金口座への入金日をもつて受入年月日を記載し、供託書副本の記録欄に認印を押す。
ウ 供託官は、一の(3)により保管する供託書正本に、供託金の受領を証する旨及び預金口座への入金日を記載して記名押印した上、これを、供託者から提出を受けた封筒を用いて供託者に送付する。 なお、供託官が供託者の求めにより、供託所 において供託書正本を交付する場合には、交付を受ける者が供託者本人であることを適宜の方法により確認しなければならない。
工 供託官は、供託者に供託書正本の交付又は送付をLたときは、供託書副本の該当欄に交付又 は送付年月日を記載して認印を押す。
(6)供託官は、郵送により送付した供託書正本が配達先不明等の理由で返送された場合には、適宜の方法により供託書正本を保管するものとする。 なお、後日、供託者から供託書正本の交付を求 められたときは、供託官において供託者本人であることが確認できる場合に限り、これに応じて差 し支えない。

第四 供託所口座への払込み

一 出納官吏は、当座小切手等送付簿及び当座小切手原符つづり込帳を備えなければならない。
二 預金口座へ入金された金額について、供託官が供託金として受け入れるべきものであることを確認したときには、出納官吏は、口座銀行に対し、速やか に預金口座から供託所口座への払込みを依頼するも のとする。
三 出納官吏が口座銀行に対し供託金を供託所口座に払い込むことの依頼は、保管金払込事務等取扱規程 (昭和二六年大蔵省令第三〇号)第三条に規定する 第1号書式による保管金払込書に自己渡しの当座小切手を添えて口座銀行へ提出し、これらと引き換えに、当座小切手等送付簿に当該小切手につき授受関係を証するのに必要な口座銀行の受領者の受領印を受けるものとする。 この当座小切手の原符は、当座小切手原符つづり込帳に編てつする。
四 出納官吏は、次の場合において、保管金領収証書 を受領したときには、これをその日付の順序に従い、 保管金領収証書つづり込帳に編てつする。
(1) 口座銀行が日本銀行の代理店であって、同一店舗内での振替により預金口座から供託所口座に供託金が入金された場合において、出納官吏が口座 銀行から保管金領収証書を受領したとき。
(2) 口座銀行が日本銀行本店又は支店あての当座小切手(以下「日銀小切手」という。)を振り出して、それに保管金払込書を添えて供託金を供託金取扱店に納入した場合において、出納官吏が口座銀行から保管金領収証書を受領したとき。
(3) 出納官吏が現金に代え、口座銀行から日銀小切 手を受けて自ら供託金取扱店に振り込む場合に おいて、当該供託金取扱店が保管金領収証書を出 納官吏に交付したとき。
五 出納官吏は、四により保管金領収証書を受領した ときは、保管金領収証書の日付をもって、当座預金出納簿の「払込」欄及び「払戻」欄並びに現金出納 簿の「受」の「預金」欄及び「払」の「現金」欄に、 保管金領収証書の記載金額を記入するとともに、次 の要領で当座預金出納簿に記入する。
(1) 当座預金出納簿の当日の入金額から払戻額を控除した残高があるときには、その額を「預金」の 「残高」欄に記入するこの場合において、前日から繰り越した額があるときは、その額を加えた額を記入する。
(2) 当座預金出納簿の当日の受入額から払込額を控除した残高があるときには、手元現金として保管するものとして、その額を「確認済額」の「残高」欄に記入する。この場合において、前日から 繰り越した額があるときは、その額を加えた額を記入する。
(3)(1)の残高から(2)の残高を控除した預金の残高が あるときには、供託金としての受入れが確認未済 のものとして、その額を当座預金出納簿の「確認 未済額」の「残高」欄に記入する。この場合において、前日から繰り越した額があるときは、その額を加えた額を記入する。 なお、「確認未済額」の「増」欄には、当日の受入額のうち確認未済額を記入する。

第五 振込金の組戻し

一 組戻事由
供託官は、次に掲げる事由のあるときには、預金口座から振込金を組み戻すよう適宜の方法をもって 、速やかに振込人に連絡する。
(1) 振り込み期日を徒過して供託金の振込手続がさ れ、預金口座へ振り込まれたこと。
(2) その代組戻しを相当とする事情があること。

二 組戻しの手続
預金口座から振込金を組み戻すときには、次の手続による。
(1) 出納官吏は、預金口座に振込手続をした者が振込みを依頼Lた金融機関(以下「仕向銀行」という。)に振込金(兼手数料)受取書を添えて組戻しを依頼し、口座銀行が組戻しの依頼を受けた仕向銀行からその旨の連絡を受けたときは、直ちに書面によって口座銀行からその旨の通知を受ける。
(2) 出納官吏は、口座銀行から(1)の通知を受けたと きは、振込金返還請求者から別紙様式第6による 振込金返還請求書及び(1)の振込金(兼手数料)受 取書の写し等振込人と組戻依頼人とが同一である ことの確認ができる書面の提出を求める。
(3) 出納官吏は、一に掲げる組戻事由の有無を確認 し、口座銀行に対して組戻しの承諾の有無を通知する。この場合において、組戻しを承諾するときには、別紙様式第7による振込金組戻承諾書を送付し、速やかに組戻手続がとられるよう依頼する。
組戻しがされたときには、出納官吏は、当座預金出納簿に、「預金」の「入金」及び「確認未済 額」の「増」欄のマイナスとして計上することとし、この場合には、「入金」欄及び「確認未済額」 の「増」欄に組戻額を朱書する。

第六 帳簿の保存期間

供託金の預金口座による受入れ等に関して必要な帳簿の保存期間は、次のとおりとする。
1 当座預金出納簿
最終の記載をした年度の翌年度から一〇年
2 当座小切手原符つづり込帳
当該年度の翌年度から一〇年
3 当座小切手等送付簿
当該年度の翌年度から一〇年
4 供託金入金通知書つづり込帳
当該年度の翌年度から五年

第七 預金口座に関する検査

法務局及び地方法務局会計事務章程(昭和二四年五月三一日会甲第三五六七号訓令)第八条において準用 する検察庁会計事務章程(昭和二二年八月一日甲会二 四八一号法務総裁訓令)第七九条の規定に基づき会計事務管理者が命じた予算及び会計令(昭和二二年勅令第一六五号)第一一六条の規定による検査員は、預金口座に関し、次の要領で検査を行う。

一 口座銀行に対し、預金口座の現金現在高証明又は 当座勘定照合表を請求し、検査の日における預金現在高の確認をとる。
二 当座預金出納簿と預金口座からの入金通知書等を精査し、預金現在高と照合する。
別表
別紙様式第1~第7
(以上省略)