私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて 平成十年十二月十八日付け法務省民四第二三六九号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて
平成十年十二月十八日付け法務省民四第二三六九号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

(通達)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法 律の一部を改正する法律(平成一〇年法律第八一号。以 下「改正法」という。)及び商業登記規則の一部を改正する省令(平成一〇年法務省令第五二号)が明年一月一日 から施行されることとなったが、これに伴う商業・法人登記事務の取扱いについては、下記の点に留意し、事務 処理に遺憾のないよう、この旨貴管下登記官に周知方取 り計らわれたい。
 なお、本通達中、「法」とあるのは私的独占の禁止及び. 公正取引の確保に関する法律を、「商登規」とあるのは 商業登記規則をそれぞれいい、引用する条文は、すべて 改正後のものである。

一 合併に関する計画の届出
  公正取引委員会への事前届出が必要な合併は、合併 当事会社の中に、総資産合計額(①当該会社の総資産 の額(最終の貸借対照表による資産の合計額をいう (法一〇条二項)。以下同じ。)、②当該会社が一〇〇分」 の五〇を超える株式を所有する国内の会社の総資産の 額及び③当該会社の一〇〇分の五〇を超える株式を所 有する国内の会社の総資産の額を合計した額(法一〇 条二項))が一〇〇億円を超える会社と、総資産合計 額が一〇億円を超える会社が別々に存在する場合に限 ることとされたほか、①合併会社のうち、いずれか一 の会社が他のすべての会社の一〇○分の五〇を超える 株式を所有している場合及び②合併会社のそれぞれの 一〇〇分の五〇を超える株式を所有する会社が同一の 会社である場合には届出は不要とされた(法一五条二 項、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 施行令(昭和五二年政令第一三七号)一五条一項、二 項)。
二 合併当事会社が合併をしてはならない期間
  法第一五条第二項の規定による届出を行った会社は、 届出受理の日から三〇日を経過するまでは合併をして はならないが、公正取引委員会は、その必要があると 認める場合には、当該期間を短縮することができるこ ととされた(法一五条四項)。
三 会社の合併による登記の申請書の記載
  会社の合併につき法第一五条第二項の規定による届 出をした場合においては、当該合併による変更又は設 立の登記の申請書には、届出をした年月日を記載し、 同条第四項ただし書の規定による期間の短縮があった ときは、その期間をも記載しなければならないことと された(商登規一一八条)。 したがって、会社の合併につき法第一五条第二項の 規定による届出を要しない場合においては、当該合併 による変更又は設立の登記の申請書には、届出をした 年月日を記載する必要はない。
  なお、登記官としては、会社の合併につき法第一五 条第二項の規定による届出を要しないことを確認する ことができない場合もあり得るが、当該合併が法第一五条第二項の規定による届出を要する場合であること が登記申請書及び添付書面から明らかである場合を除 き、登記申請書に届出年月日の記載がなくとも受理して差し支えない。
四 経過措置
 改正前の法第一五条第二項は、国内の会社の合併に ついては一律に届出を要するものとしていたが、改正 法の施行前にこの規定による届出がされ、改正法の施 行後に登記の申請がされる場合にも改正後の商登規が 適用される。 なお、改正前の法第一五条第二項の規定によりされ た届出であって、改正法の施行の際改正前の法第一五 条第三項本文に規定する三〇日の期間又は同項ただし書の規定により短縮され、若しくは延長された期間を 経過していないものについての法の適用については、 なお、従前の例によることとされている(改正法附則 五条)。