民事再生法等の施行に伴う供託事務の取扱いについて 平成十二年三月三十一日付け法務省民四第八四三号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

民事再生法等の施行に伴う供託事務の取扱いについて
平成十二年三月三十一日付け法務省民四第八四三号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達

(通達)民事再生法が平成一一年一二月二二日法律第二二五号として公布され、本年一月三一日には民事再生規則(平成一二年最高裁判所規則第三号)が、同じく三月三〇日には商業登記規則等の一部を改正する省令(平成一二年法務省令第二一号)がそれぞれ公布され、いずれも本年四月一日から施行されることとなったが、これらに伴う供託事務の取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう貴管下供託官に周知方取り計らい願います。
  なお、本通達中、民事再生法は「法」と、商業登記規則等の一部を改正する省令は「改正省令」と、供託事務取扱手続準則(昭和四七年三身四日付け民事甲第一〇五〇号当職通達)は「準則」とそれぞれ略称するものとし、 商業登記法、商業登記規則及ぴ法人登記規則として引用する条文はすべて改正後のものです。

第一 法の目的等
一 法は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする(法一条)。
二 法に基づき事業又は経済生活の再生を図るため再生計画を定める手続を再生手続といい、再生手続開始の申立てがされた債務者を再生債務者という(法二条一号、三号、四号参照)。再生債務者の範囲に限定はなく法人であると自然人であるとを問わない。
三 管財人及び保全管理人
(1)管財人の選任及びその権限
  裁判所は、再生債務者が法人である場合に限り、その財産の管理又は処分が失当であるときその他再生債務者の事業の再生のために特に必要があると認めるときは、再生手続の開始の決定と同時に又はその決定後、再生債務者の業務及び財産に関し、裁判所が選任する管財人による管理を命ずる処分(管理命令)をすることができることとされた(法六四条一項、二項参照)。
 管理命令が発せられた場合には、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権限は、管財人に専属する(法六六条、三八条三項)。
(2)保全管理人の選任及びその権限
  裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債務者が法人である場合に限り、その財産の管理又は処分が失当であるときその他再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、裁判所が選任する保全管理人による管理を命ずる処分(保全管理命令)をすることができることとされた(法七九条一項、二項参照)。
  保全管理命令が発せられたときは、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属する。ただし、保全管理人が再生債務者の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない(法八一条一項)。
(3)管財人又は保全管理人が供託する場合に提示すべき書面
  管理命令又は保全管理命令が発せられたときは、裁判所書記官の嘱託により、管財人又は保全管理人の氏名及び住所を役員欄に登記することとされ (法一一条二項、商業登記規則一一八条の三、法人登記規則九条)、また、管財人及び保全管理人は印鑑を登記所に提出することができ、印鑑を提出したときは印鑑証明書の交付を請求することができることとされたことから、これらの者に係る登記簿謄本又は抄本、証明書及び印鑑証明書が登記所から交付されることとなった(商業登記法一一条一項、一二条一項。なお、他の法令において準用する場合を含む。)。
  したがって、管財人又は保全管理人が、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分の一環として再生債務者のために供託をする場合には、 資格を証する書面として、登記所の作成した登記簿謄本等を提示させる。

(4)印鑑証明書の添付に係る供託規則の改正
  改正省令第五条により、供託規則第二六条第二項が改正され、管財人又は保全管理人が、再生債務者のために供託物の払渡しを請求する場合には、 同項において準用する同条第一項に基づき、供託物払渡請求書に押された印鑑につき、市区町村長又は登記所の作成した印鑑証明書を原則として添付すべきこととされた。
第二 法第七七条第三項による供託
一 管財人による共益債権及び一般優先債権の供託
(1)供託の原因
ア 再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権は、原則として再生債権となるところ(法八四条一項)、共益債権は再生債権者全体の利益に資する請求権として、一般優先債権は一般先取特権その他一般の優先権がある債権として、それぞれ再生債権から除かれた債権である(法一一九条、三九条 三項、四九条四項、五〇条二項、六七条五項、 一二〇条三項、一四〇条六項、一五一条四項、 一八四条二項、一二二条一項参照)。共益債権は、再生手続によらず、再生債権に先立って弁済することとされ(法一二一条一項、二項)、一般優先債権も、再生手続によらず随時弁済される(法一二二条二項)。
イ 管財人は、再生手続開始の決定を取り消す決定、再生手続廃止の決定若しくは再生計画不認可の決定が確定した場合(法三七条、一九一条以下、一七四条二項)又は再生手続終了前に再生計画取消しの決定が確定した場合(法一八九条一項、四項)には、法第一六条第一項の規定により破産の宣告をすべき場合を除き、共益債権及び一般優先債権を弁済しなければならないが、債権の存否、共益債権又は一般優先債権としての適格性、債権額等について争いがある場合には、共益債権及び一般優先債権のうち異議のあるものとして、その債権を有する者のために供託をしなければならない(法七七条三項参照)。
ウ この供託は、当該債権の債権者を被供託者としてする。供託書には、被供託者あての供託通知書及び郵券を付した封筒を添付させる(供託規則一六条、準則三三条)。
(2)管轄供託所
  共益債権及び一般優先債権に対応する債務の履行地の供託所である。
二 供託金の払渡し
  異議に係る共益債権又は一般優先債権の帰属が訴訟等で明確にされ、争いが消滅するまでは、供託官は供託金の払渡を認可することができない。 したがって、供託金の払渡しを受けようとする者は、供託規則第二四条第二号にいう「還付をする権利を有することを証する書面」又は第二五条第二号にいう「取戻しをする権利を有することを証する書面」として、供託金の払渡請求権が自己に帰属する旨を明らかにした確定判決、和解調書等を供託物払渡請求書に添付しなければならない。
第三 和議法及び特別和議法の廃止並びにこれに伴う経過措置
一 和議法及び特別和議法の廃止
  法附則第二条により、和議法(大正一一年法律第七二号)及び特別和議法(昭和二一年法律第四一号)は廃止された。
二 廃止に伴う経過措置法の施行前にされた和議開始の申立てに係る和議事件についてはなお従前の例によることとされた。 したがって、これに該当する和議事件につき、法の施行後に廃止前の和議法第五六条第二項による供託 の申請がなされたときは、従前の取扱いによることで差し支えない。