後見登記等に関する法律等の施行に伴う後見登記等に関する事務の取扱について(平成12年3月23日民2第700号通達)
(通達)後見登記等に関する法律(平成一一年法律第一五二号。以下「法」という。)、後見登記等に関する政令 (平成一二年政令第二四号。以下「令」という。)、登記手数料令等の一部を改正する政令(平成二一年政令第二五号)及び後見登記等に関する省令(平成一二年法務省令第二号。以下「省令」という。)が平成一二年四月一日から施行されることとなり、平成一二年法務省告示第八三号をもって、貴局が後見登記等に関する事務をつかさどる登記所(法第二条第一項)として指定されたが、これに伴う後見登記等に関する事務の取扱いについては、 下記の事項に留意し、事務処理上遺憾のないよう、貴職において指定する登記官(法第三条)に周知方取り計らい願います。
記
第一 登記の嘱託又は申請の手続
一後見等の登記
(1)登記すべき事項
後見、保佐又は補助(以下「後見等」と総称する。)の登記の登記すべき事項は、以下のとおりである(法第四条第一項)。
①後見等の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日
②成年被後見人、被保佐人又は被補助人(以下「成年被後見人等」と総称する。)の氏名、出生 の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、 国籍) 住所とは、住民票上の住所(外国人にあっては、外国人登録原票上の居住地)をいう(以下同じ。)。
③成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」と総称する。)の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
④成年後見監督人、保佐監督人又は補助監督人(以下「成年後見監督人等」と総称する。)が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
⑤保佐人又は補助人の同意を得ることを要する行為が定められたときは、その行為
⑥保佐人又は補助人に代理権が付与されたときは、その代理権の範囲
⑦数人の成年後見人等又は数人の成年後見監督人等が、共同して又は事務を分掌して、その権 限を行使すべきことが定められたときは、その定め
⑧後見等が終了したときは、その事由及び年月日
⑨家事審判法(昭和二二年法律第一五二号。以下「家審法」という。)第一五条の三第一項の規定による審判(同条第五項の裁判を含む。以下「保全処分」という。)に関する事項のうち政令で定める事項 この政令で定める事項は、次のとおりである(令第四条)。
(a)成年後見人等又は成年後見監督人等の職務執行の停止の審判がされたときは、その旨
(b)成年後見人等又は成年後見監督人等の職務代行者の選任の審判がされたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)。
⑩登記番号
(2)後見等の開始の審判に基づく登記
ア嘱託者
裁判所書記官は、後見等の開始の審判(即時抗告があった場合の「裁判」を含む。以下同じ。)が確定したときは、その審判に基づく登記の嘱託を行うこととされた(家審法第一五条の二、家事審判規則(昭和二二年最高裁判所規 則第一五号。以下「家審規」という。)第二一条の四第一項第一号)。
イ嘱託の方式
(ア)登記の嘱託は、嘱託書に次に掲げる事項を記載し、裁判所書記官が記名押印しなければならないこととされた(令第八条第二項、家審規第二一条の五第一項第一号、第三号から第八号まで)。
①成年被後見人等の氏名、出生の年月日、 住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
②登記の事由
③登記すべき事項
④嘱託の年月日
⑤裁判所書記官の氏名及び所属裁判所
⑥登記所の表示
⑦登記手数料の額
(イ)後見等の開始の審判と同時にされた成年後見人等若しくは成年後見監督人等の選任の審判、保佐人若しくは補助人の同意を得ることを要する行為を定める審判、保佐人若しくは補助人に代理権を付与する審判又は数人の成年後見人等若しくは数人の成年後見監督人等が共同若しくは事務を分掌してその権限を行使すべきことを定める審判については、これらの審判の確定日が後見等の開始の審判の確 定日と同日であるときは、(ア)の嘱託書にこれらの審判に係る登記の事由及び登記すべき事 項を記載して、一個の嘱託書で登記の嘱託をすることができる。
(ウ)嘱託書を送付するときは、書留郵便によらなければならないこととされた(令第八条第二項、省令第八条)。
ウ添付書面
登記の事由を証する書面を嘱託書に添付すべ きこととされた(家審規第二一条の五第二項)。 この添付書面は、審判書又は裁判書の謄本である。
(3)変更の登記
ア嘱託による登記
(ア)嘱託者
裁判所書記官は、後見等の開始の審判が確定した後に、次に掲げる事由により、登記された(1)③から⑦まで又は⑨の事項に変更が生じたとき(新たにこれらの事項を登記すべき場合を含む。以下同じ。)は、その旨の変更の登記の嘱託を行うこととされた(家審法第一五条の二、家審規第二一条の四第一項、第二項第二号)。
①成年後見人等又は成年後見監督人等の選任若しくは解任の審判又は辞任の許可の審判の確定
②保佐人又は補助人の同意を得ることを要する行為を定める審判又はその取消しの審判の確定
③保佳人又は補助人に代理権を付与する審判又はその取消しの審判の確定
④数人の成年後見人等又は数人の成年後見監督人等が共同若しくは事務を分掌して、 その権限を行使すべきことを定める審判又はその取消しの審判の確定
⑤成年後見人等又は成年後見監督人等の職務執行の停止又は職務代行者の選任若しくは改任の審判の発効
⑥成年後見人等又は成年後見監督人等の職務執行の停止又は職務代行者の選任の審判が効力を失った場合
(イ)嘱託の方式
a登記の嘱託は、嘱託書に登記すべき事項を記録すべき登記記録の登記番号を記載するほか(家審規第二一条の五第一項第二号)、(2)イ(ア)及び(ウ)に準ずる。
b同一の登記記録に係る数個の変更の登記の嘱託を同時にするときは、一個の嘱託書で登記の嘱託をすることができることとされた(令第八条第二項、省令第七条第一項)。
(ウ)添付書面
登記の事由を証する添付書面(家審規第二一条の五第二項)は、審判書又は裁判書の謄本である。 ただし、本案の審判又は保全処分の申立て等の取下げにより、(ア)⑥の事由が生じたとき は、当該取下書の謄本である。
イ申請による登記
(ア)申請人
a次に掲げる者は、登記された次に掲げる事項に変更が生じたことを知ったときは、 ア(ア)の嘱託による登記がされる場合を除き、 変更の登記を申請しなければならないこととされた(法第七条第一項第一号、令第七条第一項第一号)。
①成年被後見人等、成年後見人等及び成年後見監督人等(1)②から④までの事項 なお、成年後見人等又は成年後見監督人等が死亡した場合又はこれらの者について破産等の欠格事由が生じた場合も、 これらの事項の変更に該当する。
②成年被後見人等、成年後見人等、成年後見監督人等及び職務代行者(1)⑨(b)の事項
b成年被後見人等の親族その他の利害関係人は、aに掲げる事項に変更が生じたとき は、ア(ア)嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請することができることとされた(法第七条第二項、令第七条第二項)。
(イ)申請の方式
a登記の申請は、申請書に次に掲げる事項を記載し、申請人又はその代表老若しくは代理人が記名押印しなければならないこととされた(令第九条第二項)。
①申請人の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店並びに代表者の氏名及び住所)並びに申請人の資格
②代理人によって申請するときは、その氏名及び住所
③登記の事由
④登記すべき事項
⑤変更に係る登記記録を特定するために必要な事項で法務省令で定めるものこの法務省令で定める事項は、成年被後見人等の氏名のほか、(a)成年被後見人等の出生の年月日及び住所又は本籍(外国人にあっては、国籍)、(b)登記番号のいずれかの事項である(令第九条第二項 第五号、省令第六条)。
⑥申請の年月日
⑦登記所の表示
b同一の登記記録に係る数個の変更の登記の申請を同時にするときは、一個の申請書で登記の申請をすることができることとされた(省令第七条第一項)。
C申請書を送付するときは、書留郵便によらなければならないこととされた(省令第 八条)。
(ウ)添付書面
a 登記申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならないこととされた(令第一 〇条)。
①申請人が法人であるときは、代表者の資格を証する書面
②代理人によって申請するときは、その権限を証する書面 ①又は②の書面で官庁又は公署が作成 したものは、その作成後三月以内のものに限ることとされた(省令第一〇条)。
③登記の事由を証する書面 この書面は、成年被後見人等、成年後見人等、成年後見監督人等又は職務代行者についての戸籍謄抄本、住民票の写し、 外国人登録原票記載事項証明書等である。
b同時に数個の登記の申請をする場合において、各申請書に添付すべき書面に内容が 同一であるものがあるときは、一個の申請書のみに一通を添付すれば足りることとされた(省令第七条第二項)。この場合には、 他の各申請書にその旨を付記しなけれぼならないこととされた(同条第三項)。
(4)終了の登記
ア嘱託による登記
(ア)嘱託者
裁判所書記官は、後見等の開始の審判の取消しの審判が確定したときは、その審判に基づく登記の嘱託を行うこととされた(家審法第一五条の二、家審規第二一条の四第一項第 一号、特別家事審判規則(昭和二二年最高裁判所規則第一六号。以下「特家審」という。) 第三条の一五第一項第二号)。
(イ)嘱託の方式
登記の嘱託の方式は、(3)ア(イ)aに準ずる。
(ウ)添付書面
登記の事由を証する添付書面(家審規第二一条の五第二項)は、審判書又は裁判書の謄本である。
イ申請による登記
(ア)申請人
a成年後見人等又は成年後見監督人等は、 成年被後見人等が死亡したことを知ったときは、終了の登記を申請しなければならないこととされた(法第八条第一項)。
b成年被後見人等の親族その他の利害関係人は、成年被後見人等が死亡したときは、 終了の登記を申請することができることとされた(法第八条第三項)。
(イ)申請の方式
登記の申請の方式は、(3)イ(イ)a及びcに準 ずる。 この場合の登記すべき事項は、成年被後見人等が死亡したこと及びその年月日である (法第四条第一項第八号)。
(ウ)添付書面
登記申請書の添付書面は、(3)イ(ウ)aに準ず る。
二 任意後見契約の登記
(1)登記すべき事項
任意後見契約の登記の登記すべき事項は、以下 のとおりである(法第五条)。
①任意後見契約に係る公正証書を作成した公証人の氏名及び所属並びにその証書の番号及び作成の年月日
②任意後見契約の委任者(以下「任意後見契約の本人」という。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
③任意後見受任者又は任意後見人の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
④任意後見受任者又は任意後見人の代理権の範囲
⑤数人の任意後見人が共同して代理権を行使すべきことを定めたときは、その定め
⑥任意後見監督人が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及 び主たる事務所又は本店)並びにその選任の審判の確定の年月日
⑦数人の任意後見監督人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め
⑧任意後見契約が終了したときは、その事由及び年月日
⑨保全処分に関する事項のうち政令で定めるも この政令で定める事項は、次のとおりである (令第四条)。 (a)任意後見人又は任意後見監督人の職務執行 の停止の審判がされたときは、その旨 (b)任意後見監督人の職務代行者の選任の審判がされたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
⑩登記番号
(2)任意後見契約の締結の登記
ア嘱託者
公証人は、任意後見契約の公正証書を作成したときは、登記の嘱託を行うこととされた(公証人法第五七条ノ三第一項)。
イ嘱託の方式
登記の嘱託は、嘱託書に次に掲げる事項を記載し、公証人が記名押印しなけれぼならないこととされたほか(令第八条第二項、第九条第二 項)、本年三月一三日付け法務省民一第六三四号当職通達の記第二の四による。
①公証人の氏名、住所
②登記の事由
③手数料の額
④嘱託の年月日
⑤登記所の表示
ウ添付書面
嘱託書には、任意後見契約の公正証書の謄本を添付しなけれぱならないこととされた(公証人法第五七条ノ三第二項)。
(3)変更の登記
ア嘱託による登記
(ア)嘱託者
裁判所書記官は、任意後見契約の締結がされた後に、次に掲げる事由により、登記された(1)⑥、⑦又は⑨の事項に変更が生じたときは、その旨の変更の登記の嘱託を行うこととされた(家審法第一五条の二、特家審第三条の一五第一項第一号、第三号から第五号まで、 第二項)。
①任意後見監督人の選任若しくは解任の審判又は辞任の許可の審判の確定
②数人の任意後見監督人が共同若しくは事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定める審判又はその取消しの審判の確定
③任意後見監督人の職膀執行の停止又は職務代行者の選任若しくは改任の審判の発効
④任意後見人の職務執行の停止の審判の発効
⑤職務執行の停止又は職務代行者の選任の審判が効力を失った場合
(イ)嘱託の方式
登記の嘱託の方式は、一(3)ア(イ)に準ずる。
(ウ)添付書面 登記の事由を証する添付書面(特家審第三条の一六、家審規第二一条の五第二項)は、 審判書又は裁判書の謄本である。 ただし、本案の審判又は保全処分の申立て等の取下げにより、ア⑤の事由が生じたときは、当該取下書の謄本である。
イ申請による登記
(ア)申請人
a次に掲げる者は、登記された次に掲げる事項に変更が生じたことを知ったときは、 ア(ア)の嘱託による登記がされる場合を除き、 変更の登記を申請しなけれぼならないこととされた(法第七条第一項第二号、令第七条第一項第三号)。
①任意後見契約の本人、任意後見受任者、 任意後見人及び任意後見監督人(1)②、 ③及び⑥の事項なお、任意後見監督人が死亡した場合又は任意後見監督人について破産等の欠格事由が生じた場合も、これらの事項の変更に該当する。
②任意後見契約の本人、任意後見受任者、 任意後見人、任意後見監督人及び職務代行者 ①⑨(b)の事項
b任意後見契約の本人の親族その他の利害 関係人は、aに掲げる事項に変更が生じたときは、ア(ア)の嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請することができることとされた(法第七条第二項、令第七条第二項)。
(イ)申請の方式
登記の申請の方式は、一(3)イ(イ)に準ずる。
(ウ)添付書面 登記申請書の添付書面は、一(3)イ(ウ)に準ず る。
(4)終了の登記
ア嘱託による登記
(ア)嘱託者
裁判所書記官は、次に掲げる事由が生じたときは、終了の登記の嘱託を行うこととされた(家審法第一五条の二、家審規第二一条の四第三項、特家審第三条の一五第一項第六号)。
①任意後見人の解任の審判の確定
②後見等の開始の審判が確定した場合において任意後見契約に関する法律(平成一一年法律第一五〇号)第一〇条第三項の規定により終了する任意後見契約があるとき
(イ)嘱託の方式
登記の嘱託の方式は、一(3)ア(イ)aに準ずる。
(ウ)添付書面
登記の事由を証する添付書面(特家審第三条の一六、家審規第二一条の五第二項)は、 審判書又は裁判書の謄本である。
イ申請による登記
(ア)申請人
a任意後見契約の本人、任意後見受任者、 任意後見人又は任意後見監督人は、次に掲げる事由により任意後見契約が終了したことを知ったときは、ア(ア)の嘱託による登記がされる場合を除き、終了の登記を申請しなけれぼならないこととされた(法第八条 第二項)。
①任意後見契約の本人の死亡又は破産
②任意後見受任者又は任意後見人の死亡、 破産又は後見開始の審判の確定
③任意後見契約の解除
b任意後見契約の本人の親族その他の利害関係人は、任意後見契約が終了したときは、 ア(ア)の嘱託による登記がされる場合を除き、 終了の登記を申請することができる(法第八条第三項)。
(イ)申請の方式
登記の申請の方式は、一(3)イ(イ)a及びcに 準ずる。 この場合の登記すべき事項は、(ア)aに掲げ る任意後見契約の終了事由及びその年月日で ある(法第五条第一項第八号)。
(ウ)添付書面
登記申請書の添付書面は、一(3)イ(ウ)aに準ずる。 任意後見契約の解除を終了の事由とする場合には、解除の意思表示を記載した書面(任意後見監督人の選任前の解除のときは、公証人の認証を受けた書面)が相手方に到達したことを証する書面(配達証明付内容証明郵便の謄本等)又は任意後見契約の合意解除の意思表示を記載した書面(任意後見監督人の選任前の解除のときは、公証人の認証を受けた書面)の原本又は認証ある謄本が添付書面となる。 なお、任意後見監督人選任後に任意後見契約を解除する場合には、家庭裁判所の許可を得なけれぼならないことから(任意後見契約に関する法律第九条第二項)、これらの書面のほか、許可の審判書又は裁判書の謄本及び確定証明書も添付書面となる。
三 後見命令等の登記
(1)登記すべき事項
後見命令等(家審規第二三条第二項、第三〇条第二項及び第三〇条の八第二項の規定による審判をいう。)の登記の登記すべき事項は、以下のとおりである(法第四条第二項、令第五条)。
①後見命令等の種別、審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び発効の年月日
②財産の管理者の後見、保佐又は補助を受けるべきことを命ぜられた者(以下「後見命令等の本人」と総称する。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
③財産の管理者の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
④補助命令の審判(家審規第三〇条の八第二項 の規定による審判)において、財産の管理者の同意を得ることを要するものと定められた行為
⑤後見命令等が効力を失ったときは、その事由及び年月日
⑥登記番号
(2)後見命令等の審判に基づく登記
ア嘱託者
裁判所書記官は、後見命令等が効力を生じたときは、その審判に基づく登記の嘱託を行うこととされた(家審法第一五条の二、第一五条の 三第一項、家審規第二一条の四第二項第一号)。
イ嘱託の方式
登記の嘱託の方式は、一(2)イ(ア)及び(ウ)に準ず る。 ウ添付書面 登記の事由を証する添付書面(家審規第二一条の五第二項)は、審判書又は裁判書の謄本である。
(3)変更の登記
ア嘱託による登記
(ア)嘱託者
裁判所書記官は、後見命令等が効力を生じた後に、財産の管理者の改任の審判が効力を生じたときは、その旨の変更の登記の嘱託を行うこととされた(家審規第二一条の四第二項第二号)。
(イ)嘱託の方式
登記の嘱託の方式は、一(3)ア(イ)に準ずる。
(ウ)添付書面
登記の事由を証する添付書面(家審規第二一条の五第二項)は、審判書又は裁判書の謄本である。
イ申請による登記
(ア)申請人
a後見命令等の本人又は財産の管理者は、 登記された(1)②又は③の事項に変更が生じたことを知ったときは、ア(ア)の嘱託による登記がされる場合を除き、その旨の変更の登記を申請しなければならないこととされた(令第七条第一項第二号)。 なお、財産の管理者が死亡したときは、 改任の審判がされ、これに基づく登記の嘱託がされることから、その死亡を事由とする変更の登記の申請がされることはない。
b後見命令等の本人の親族その他の利害関係人は、登記された(1)②又は③の事項に変更が生じたときは、ア(ア)の嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請することができる(令第七条第二項)。
(イ)申請の方式
登記の申請の方式は、一(3)イ(イ)に準ずる。
(ウ)添付書面
登記申請書の添付書面は、一(3)イ(ウ)に準ず る。
(4)終了の登記
ア嘱託者
裁判所書記官は、後見命令等が効力を失ったときは、終了の登記の嘱託を行うこととされた (家審法第一五条の二、第一五条の三第一項、 家審規第二一条の四第二項第一号)。
イ嘱託の方式
登記の嘱託の方式は、一(3)ア(イ)aに準ずる。
ウ添付書面
登記の事由を証する添付書面(家審規第二一条の五第二項)は、審判書又は裁判書の謄本である。 ただし、本案又は後見命令等の申立て等の取下げにより後見命令等の審判が効力を失った場合には当該取下書の謄本が、後見命令等の本人の死亡により後見命令等の審判が効力を失った場合には、死亡診断書、除籍謄抄本等の死亡を証する書面が添付書面となる。
四 禁治産者及び準禁治産者についての経過措置
民法の一部を改正する法律(平成一一年法律第一四九号。以下「民法改正法」という。)附則第三条第一項又は第二項の規定により成年被後見人又は成年後見人とみなされる禁治産者又は準禁治産者(心神耗弱を原因に準禁治産宣告を受けた者に限る。)についての経過措置として、申請により、後見又は保佐の登記をすることができることとされた(法附則第二条第一項、第二項)。
(1)法附則第二条第一項の後見の登記
ア申請人
民法改正法附則第三条第一項の規定により成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人とみなされる者又は当該成年被後見人とみなされる者の配偶者若しくは四親等内の親族は、 後見の登記を申請することができることとされた(法附則第二条第一項)。
イ申請の方式 登記申請書には、次に掲げる事項を記載し、 申請人又はその代表者若しくは代理人が記名押印しなけれぼならないこととされた(令第九条 第一項)。
①申請人の氏名及び住所(法人にあっては、 名称又は商号及び主たる事務所又は本店並びに代表者の氏名及び住所)並びに申請人の資格
②代理人によって申請するときは、その氏名及び住所
③登記の事由
④登記すべき事項 この登記すべき事項は、次のとおりである。
(a)後見又は保佐の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日 開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日は、後見開始の審判とみなされる禁治産宣告の裁判(民法改正法附則第三条第一項)をした裁判所名及び事件番号並びにその裁判の確定の年月日を記載するものとする。ただし、裁判所名及び事件番号が判明しない場合には、 「不詳」と記載するものとする。
(b)成年被後見人とみなされる者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍) 成年被後見人とみなされる禁治産者の氏名等を記載するものとする。
(c)成年後見人とみなされる者の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店) 成年後見人とみなされる後見人の氏名等 のほか、その就職の日を記載するものとする。
(d)成年後見監督人とみなされる者が選任されているときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店) 成年後見監督人とみなされる後見監督人の氏名等のほか、その就職の日を記載するものとする。
⑤登記手数料の額
⑥申請の年月日
⑦登記所の表示
ウ添付書面
登記申請書には、一(3)イ(ウ)a①及び②の書面のほか、次に掲げる書面を添付しなけれぼならないこととされた(法附則第二条第一項、令第一〇条、令附則第二条第一項、省令第一〇条、 省令附則第二条第一項)。
①申請人の資格を証する書面
②成年被後見人とみなされる者の戸籍の謄本又は抄本(当該者が禁治産宣告を受けている旨の記載のあるものに限る。)
③成年被後見人とみなされる者に対して禁治産宣告をした裁判所及びその事件の表示を証する書面
④成年被後見人、成年後見人又は成年後見監督人とみなされる者の住所を証する書面
⑤成年被後見人とみなされる者が外国人であるときは、当該者が成年被後見人とみなされる者であることを証する書面及び当該者の国籍を証する書面
(2)法附則第一一条第二項の保佐の登記
ア申請人
民法改正法附則第三条第二項の規定により被 保佐人若しくはその保佐人とみなされる者又は 当該被保佐人とみなされる者の配偶者若しくは四親等内の親族は、保佐の登記を申請することができることとされた(法附則第二条第二項)。
イ申請の方式
登記の申請の方式は、(1)イに準ずる。
ウ添付書面
登記申請書には、一(3)イ(ウ)a①及び②の書面 のほか、次に掲げる書面を添付しなければならないこととされた(法附則第二条第二項、令第 一〇条、令附則第、一条第二項、省令第一〇条、 省令附則第二条第二項)。
①申請人の資格を証する書面
②被保佐人とみなされる者の戸籍の謄本又は抄本(当該者が準禁治産宣告を受けている旨の記載のあるものに限る。)
③被保佐人とみなされる者であることを証する書面
④被保佐人とみなされる者に対して準禁治産宣告をした裁判所及びその事件の表示を証する書面
⑤被保佐人又は保佐人とみなされる者の住所を証する書面
⑥被保佐人とみなされる者が外国人であるときは、当該者の国籍を証する書面
五手数料
(1)手数料の納付
登記の嘱託者又は申請人は、登記手数料令で定める手数料を納付しなければならないこととされた(法第一一条第一項第一号、第二号)。 この手数料は、登記印紙を嘱託書又は登記申請書に貼って納付しなけれぼならないこととされた (法第一一条第二項、省令第二六条第一項)。
(2)手数料の類
ア登記の手数料は、次のとおりとされた(登記手数料令第六条の二から第六条の六まで、同令附則第二条)。
(ア)後見等の登記
①後見等の開始の審判に基づく登記の嘱託 一件につき四、〇〇〇円
②次に掲げる審判に基づく登記の嘱託一 件につき二、〇〇〇円
(a)保佐人又は補助人の同意を得ることを要する行為を定める審判(保佐開始又は補助開始の審判と同時にされたものを除く。)
(b)保佐人又は補助人の代理権付与の審判 (保佐開始又は補助開始の審判と同時にされたものを除く。)
(c)旧成年後見人等又は成年後見監督人等の辞任の許可の審判 (d)成年後見人等又は成年後見監督人等の職務執行の停止又は職務代行者の選任の審判
(イ)任意後見契約の登記
①任意後見契約の締結の登記の嘱託一件 につき四、〇〇〇円
②次に掲げる審判に基づく登記の嘱託一 件につき二、〇〇〇円
(a)任意後見監督人の選任の審判(任意後見契約に関する法律第四条第一項の規定による場合に限る。)
(b)任意後見監督人の辞任の許可の審判
(c)任意後見人若しくは任意後見監督人の職務執行の停止の審判又は任意後見監督人の職務代行者の選任の審判
(ウ)後見命令等の登記
後見命令等の審判に基づく登記の嘱託一件につき二、〇〇〇円
(エ)法附則第二条の後見又は保佐の登記
法附則第二条第一項及び第二項の登記の申請一件につき四、〇〇〇円
イ登記の事由が複数ある場合でも、一個の嘱託書により、同時に登記の嘱託をすることができるときは、一件として取り扱うものとする。
第二 登記の手続
一 登記の嘱託又は申請の受付及び審査等
(1)受付の処理
ア(ア)登記官は、登記の嘱託書又は申請書を受け取ったときは、磁気ディスクをもって調製する受付帳に登記の種類、嘱託者又は申請人の氏名(法人にあっては、名称又は商号)、受付の年月日及び受付番号を記録し、嘱託書又は申請書に受付の年月日及び受付番号を記載しなけれぼならないこととされた(令第八条第 二項、省令第九条第一項)。 嘱託者の氏名については、裁判所書記官の嘱託の場合には、氏名に代えて裁判所名を、 公証人の嘱託の場合には、その氏名に公証人との肩書きを付すものとする。 受付番号は、一年ごとに更新しなけれぼならないこととされた(省令第九条第二項)。
(イ)登記の嘱託書又は申請書には、別紙第1号様式又はこれに準ずる様式による印判を押印し、該当欄に受付の年月日及び受付番号を記載するとともに、当該事件について、受付、 審査、入力・照合、校合、通知等をした都度、 該当欄に取扱者が押印するものとする。
イ登記官は、登記の嘱託書又は申請書を受け付けたときは、直ちに、貼付された登記印紙に再使用を防止できる消印器で消印するものとする。
(2)審査
ア受付をした登記の嘱託又は申請については、 直ちに、嘱託書又は申請書、その添付書面及び後見登記等ファイルの記録により、その内容を調査し、次に掲げる却下事由が存する場合には、 理由を付した書面による決定で、当該嘱託又は申請の全部又は一部を却下しなけれぼならないこととされた(令弟八条第二項、第一一条、省令第一五条)。
①事件が登記すべきものでないとき
②事件が既に登記されているとき
③嘱託又は申請の権限を有しない者の嘱託又は申請によるとき
④登記の嘱託書又は申請書が方式に適合しないとき
⑤登記の嘱託書又は申請書に必要な書面を添付しないとき
⑥登記の嘱託書若しくは申請書の記載又はその添付書面の記載が嘱託書若しくは申請書の添付書面の記載又は登記記録の記録と抵触するとき
⑦手数料を納付しないとき
イ登記の嘱託又は申詰の全部又は一部を却下するときは、別紙第2号様式又はこれに準ずる様式による決定書を作成して、これを嘱託者若しくは申請人又はその代理人に交付又は送付し、 登記所に保存すべき決定書には、その欄外に決定告知の年月日及びその方法を記載して押印し、 日記番号の順に従い、決定原本綴込帳に編てつするものとする。 この場合には、受付帳の審査結果欄に「却下」 又は「一部却下」と記録し、嘱託書又は申請書に却下又は一部却下した旨を記載するものとする。 また、嘱託老若しくは申請人又はその代理人に送付した決定書が所在不明等を理由として返戻された場合は、何らの措置を要せず、その決定書を当該事件の申請書に編てつするだけで足りる。
(3)登記の嘱託又は申請の取下げ
登記の嘱託又は申請は、登記又は却下決定がされるまでの問であれば、書面により取り下げることができる。 登記の嘱託又は申請が取り下げられた場合には、 受付帳の審査結果欄に「取下」と記録し、取下書に受付の年月日及び受付番号を記載し、これを登記申請書類綴込帳に編てつするものとする。 この場合には、受付においてした嘱託書又は申 請書の記載(受付年月日及び受付番号)及び印判の押印を朱抹し、嘱託書又は申請書に貼付された登記印紙に係る賠償償還の手続をした後、その嘱託書又は申請書及びその添付書面を還付するものとする。
二登記の方法等
(1)登記の方法
却下事由が存しない登記の嘱託又は申請については、次の事項を後見登記等ファイルに記録して登記しなけれぼならないこととされた(法第四条、第五条、令第四条、第五条第二項、第六条、省令第一二条)。
①登記すべき事項
②登記の事由及びその年月日
③登記の年月日
(2)通知
ア登記官は、後見開始の審判に基づく登記又は後見開始の審判の取消しの審判に基づく終了の登記をしたときは、これらの審判に係る成年被 後見人の本籍地(外国人にあっては、住所地) の市町村長(特別区の区長を含む。)に対し、その旨を通知しなければたらないこととされた (省令第一三条)。 この通知の様式は、別紙第3号様式又はこれに準ずる様式によるものとする。
イ(ア)登記官は、法附則第二条の後見又は保佐の登記をしたときは、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者に対し、その旨の通知をしなければならないこととされた(法附則第二条第四項)。 この通知の様式は、別紙第4号様式又はこれに準ずる様式によるものとする。
(イ)戸籍事務を管掌する者は、(ア)の通知を受けたときは、当該通知に係る成年被後見人とみなされる者又は被保佐人とみなされる者の戸籍を再製したければならないこととされた (法附則第二条第五項)。
ウ登記官は、裁判所書記官からの嘱託による登記をした場合には、当該裁判所書記官に対し、 嘱託書の副本に登記の年月日及び登記番号を記載して、登記が完了した旨を通知するものとす る。
三 職権による登記
(1)職権による登記の更正
ア登記官は、登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、監督法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならないこととされた(令第一二条)。 この場合の許可の具申は、別紙第5号様式又はこれに準ずる様式による具申書によってするものとし、この具申についての許可又は不許可は、別紙第6号様式又はこれに準ずる様式によるものとする。
イ令第一二条による登記の更正の許可書が到達したときは、受付帳に所要の記録をするほか、 許可書に受付の年月日及び受付番号を記載するものとする。
ウ登記の更正は、更正後の事項、更正の許可の年月日、登記の年月日を後見登記等ファイルに記録して行うものとする。
(2)職権による登記の抹消
ア登記官は、次に掲げる事由があることを発見したときは、登記の抹消の手続をしなければならないこととされた(令第一三条)。
①登記に係る事件が登記すべきものでないこと
②登記に係る事件が既に登記されていること
③登記された事項につき無効の原因があること
イ登記の抹消の手続は、以下のとおりである。
(ア)a登記官は、抹消すべき登記の嘱託又は申請をした者に対し、一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは、登記を抹消すべき旨を通知しなけれぼならないこととされた(令第一三条第一項)。 この通知は、別紙第7号様式又はこれに準ずる様式による通知書によってするものとし、その通知書の写しを貴職あて送付するものとする。
b抹消すべき登記の嘱託又は申請をした者の住所又は居所が知れないときは、この通 知に代え、公告しなければならないこととされ、この公告は、抹消すべき事件又は事項が登記された登記所の掲示場その他登記所内の公衆の見やすい場所に二週間掲示して行うこととされた(令第一三条第二項、 省令第一六条)。 この公告の公告文は、別紙第8号様式又はこれに準ずる様式によるものとする。
(イ)a (ア)aの異議催告に対し異議を述べた者があるときは、登記官は、その異議につき決定をしなけれ、ばならないこととされた(令第一三条第三項)。 この場合には、貴職に内議するものとし、 異議を却下する決定は別紙第9号様式又はこれに準ずる様式による決定書により、異議を理由ありとする決定は別紙第10号様式又はこれに準ずる様式による決定書によってするものとする。 この決定書は、二通作成し、その一通を異議申立人に交付又は送付し、他の一通は、 その欄外に決定通知の年月日を記載して押印し、日記番号の順序に従い審査請求書類等綴込帳に編てつするものとする。
b登記官は、異議について決定をした場合は、貴職にその旨を報告するものとする。
(ウ)登記官は、異議を述べた者がないとき、又 は異議を却下したときは、(ア)aの通知又は(ア)bの公告に係る登記を抹消しなければならないこととされた(令第一三条第四項)。 この登記の抹消は、抹消に係る事項、職権により登記を抹消する旨及び登記の年月日を後見登記等ファイルに記録して行うものとする。
(3)法附則第二条第三項の後見又は保佐の登記
ア成年被後見人又は被保佐人とみなされる者について、民法改正法の施行後に確定した審判に基づく変更の登記又は終了の登記の嘱託がされた場合において、当該嘱託に係る登記事項を記録すべき登記記録がないときは、登記官は、職権で、当該者について後見又は保佐の登記をすることとされた(法附則第二条第三項)。
イ(ア)当該変更又は終了の登記の嘱託書には、成年後見人又は保佐人とみなされる者の住所並びに後見開始の審判又は保佐開始の審判とみなされる禁治産宣告又は準禁治産宣告をした 裁判所、その事件番号及び確定年月日については記載されていない。当該嘱託の際には、 裁判所書記官が、当該嘱託に係る審判の事件記録に添付されている資料の範囲内で、成年被後見人又は被保佐人とみなされる者の戸籍謄本の写しを送付するなどの取扱いがされる。
(イ)登記官は、(ア)の書面等により、判明した登記事項を記録し、判明しない登記事項については「不詳」と記録して登記を行うものとする。
四 登記記録の閉鎖
登記官は、終了の登記をしたとき又は登記の全部を抹消したときは、登記記録を閉鎖し、これを閉鎖登記記録として、磁気ディスクをもって調製する閉鎖登記ファイルに記録しなければならないこととされた(法第九条、令第一四条)。
第三 登記事項の証明等
一登記事項証明書等の交付
(1)登記事項証明書及びその交付請求権者
ア(ア)後見登記等フフイルに記録されている登記事項に関する証明は、登記官が、申請者の書面による請求により、登記事項を証明した登記事項証明書又は登記されている記録がないことを証明した登記事項証明書を発行して行うこととされた(法第一〇条第一項、第二項、 第五項、省令第一七条第一項)。
(イ)申請は、郵送の方法によることができ、郵送料を郵便切手で納付して登記事項証明書の送付を求めることもできることとされた(令弟一六条、省令第二六条第二項)。
イ登記事項証明書の交付を請求できる者は、次のとおりである。
(ア)何人でも、次に掲げる登記記録について、 登記事項証明書を請求することができることとされた(法第一〇条第一項、令第一五条第一項)。
①自己を成年被後見人等、任意後見契約の本人又は後見命令等の本人とする登記記録
②自己を成年後見人等、成年後見監督人等、 任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人、職務代行者又は財産の管理者(退任したこれらの者を含む。)とする登記記録
③自己の配偶者又は四親等内の親族を成年被後見人等、任意後見契約の本人又は後見命令等の本人とする登記記録
(イ)次に掲げる者は、次に掲げる登記記録について、登記事項証明書の交付を請求することができることとされた(法第一〇条第二項、 令第一五条第二項)。
①未成年後見人又は未成年後見監督人その未成年被後見人を成年被後見人等、任意後見契約の本人又は後見命令等の本人とする登記記録 ②成年後見人等又は成年後見監督人等その成年被後見人等を任意後見契約の本人とする登記記録
③登記された任意後見契約の任意後見受任者その任意後見契約の本人を成年被後見人等又は後見命令等の本人とする登記記録け国又は地方公共団体の職員は、職務上必要とする場合には、登記事項証明書の交付を請求することができることとされた(法第一〇条第五項)。
(2)閉鎖登記事項証明書及びその交付請求権者
ア(ア)閉鎖登記等ファイルに記録されている登記事項に関する証明は、登記官が、申請者の書面による請求により、登記事項を証明した閉 鎖登記事項証明書又は登記されている記録がないことを証明した閉鎖登記事項証明書を発行して行うこととされた(法第一〇条第三項、 第四項、第五項、省令第一七条第一項)。
(イ)申請は、郵送の方法によることができ、郵送料を郵便切手で納付して閉鎖登記事項証明書の送付を求めることもできることとされた (令第一六条、省令第二六条第二項)。
イ閉鎖登記事項証明書の交付を請求できる者は、 次のとおりである。
(ア)何人でも、次に掲げる閉鎖登記記録について、閉鎖登記事項証明書を請求することができることとされた(法第一〇条第三項、令第一五条第三項)。
①自己が成年被後見人等、任意後見契約の本人又は後見命令等の本人であった閉鎖登記記録
②自己が成年後見人等、成年後見監督人等、 任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人又は財産の管理者であった閉鎖登記記録
③自己が成年後見人等、成年後見監督人等又は任意後見監督人の職務代行者であった閉鎖登記記録
(イ)相続人その他の承継人は、被相続人その他の被承継人が成年被後見人等、任意後見契約の本人又は後見命令等の本人であった閉鎖登記記録について、閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができることとされた(法第一〇条第四項、令第一五条第四項)。
(ウ)国又は地方公共団体の職員は、職務上必要とする場合には、閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができることとされた(法第一〇条第五項)。
(3)申請書の記載事項申請書には、次に掲げる事項を記載し、申請人又はその代表老若しくは代理人が記名押印しなければならないこととされた(省令第一七条第二項)。
①申請人の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)並びに申請人の資格
②後見登記等ファイル又は閉鎖登記ファイル (以下「後見登記等ファイル等」と総称する。) に記録されている登記事項を証明した登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書(以下「登記事項証明書等」と総称する。)の交付を請求するときは、請求に係る登記記録又は閉鎖登記記録を特定するために必要な事項この登記記録又は閉鎖登記記録を特定するために必要な事項は、成年被後見人等、任意後見契約の本人又は後見命令等の本人の氏名のほか、
(a)成年被後見人等、任意後見契約の本人又は後見命令等の本人の出生の年月日及び住所又は本籍(外国人にあっては、国籍)、
(b)登記番号のいずれかの事項とする。
③後見登記等ファイル等に成年被後見人等、任意後見契約の本人若しくは後見命令等の本人又はこれらの者であった者としての記録がないことを証明した登記事項証明書等の交付を請求するときは、その旨並びに証明の対象となる者の氏名、出生の年月日及び住所又は本籍(外国人にあっては、国籍)
④後見登記等ファイル等に③に掲げる者以外の者(成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人、職務代行者若しくは財産の管理者又はこれらの者であった者)としての記録がないことを証明した登記事項証明書等の交付を請求するときは、その旨並びに証明の対象となる者の氏名及び住所 (法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
⑤請求する登記事項証明書等の通数
⑥手数料の額
⑦請求の年月日
⑧請求先の登記所の表示
(4)添付書面
ア申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならないこととされた(省令第一八条第一項)。
①申請人の資格を証する書面(申請人が、登記事項証明書等の交付請求に係る登記記録又は閉鎖登記記録に記録されている者である場合及び後見登記等ファイル等に記録がない旨を証明した登記事項証明書等の証明の対象となる者である場合を除く。)
②申請人が法人であるときは、代表者の資格を証する書面
③代理人によって申請するときは、その権限を証する書面
イ アの書面で官庁又は公署の作成したものは、 その作成後三月以内のものに限ることとされた (省令第一八条第二項)。
(5)交付手続
ア(ア)登記官が申請書を受け取ったときは、申請書に受付の年月日を記載した上、受付の順序に従って、交付請求を却下すべき事由が存する場合を除き、登記事項証明書等の交付をしなければならないこととされた(省令第一九条)。
(イ)国又は地方公共団体の職員の職務上請求の場合には、申請書に記載された理由に照らし、 職務上必要があると認められる場合に限り、 登記事項証明書等を交付するものとする。申請書に理由の記載がない場合には、申請を却下するものとする。
イ登記事項証明書等は、証明すべき事項を記載し、その末尾に認証文を付記し、年月日及び職氏名を記載して、職印を押し、毎葉のつづり目に契印又はこれに準ずる措置をして作成する ととされた(省令第二〇条)。 登記事項証明書等を交付するときは、申請書に登記事項証明書等の枚数及び交付の年月日を記載しなげれぼならないこととされた(省令第二一条)。
ウ登記事項証明書等の交付請求を却下した場合には、申請書及びその添付書面の写しを作成して登記所に保管し、これらの原本は申請人に返戻するものとする。
二 登記申請書等の閲覧
(1)閲覧請求権者 登記事項証明書等の交付を請求することができる者は、特別の事由がある場合に限り、手数料を納付して、当該登記事項証明書等に係る登記の登記申請書若しくは登記の嘱託書又はその添付書面 (以下「登記申請書等」と総称する。)の閲覧を請求することができることとされた(令第一七条第一項)。
(2)申請書の記載事項閲覧の請求は、申請書に次の事項を記載して、 申請人又はその代表者若しくは代理人が記名押印したけれぱならないこととされた(令第一七条第二項、第三項)。
①閲覧を請求する登記申請書等
②特別の事由
③手数料の額、請求の年月日及び登記所の表示
(3)添付書面
申請書の添付書面は、一(4)に準ずる(省令第二二条、第一八条)。
(4)閲覧手続
ア登記官が申請書を受け取ったときは、申請書に受付の年月日を記載した上、受付の順序に従って、閲覧請求を却下すべき事由が存する場合を除き、登記申請書等の閲覧をさせなければならないこととされた(省令第二二条、第一九条)。
イ登記申請書等の閲覧は、登記官の面前でさせなけれぼならないこととされた(省令第二三条)。
三 手数料
(1)手数料の納付
登記事項証明書等の交付又は登記申請書等の閲覧を請求する申請人は、登記手数料令で定める手数料を納付しなけれぼならないこととされた(法第一一条第一項第三号、令第一七条第一項)。 この手数料は、登記印紙を申請書にはって納付 しなけれぼならないこととされた(法第一一条第 、一項、省令第二六条第一項)。
(2)手数料の額
ア登記事項証明書等の交付並びに登記申講書等の閲覧についての手数料は、次のとおりとされた(登記手数料金第二条第一項、第八項、第三条第五項)。
①登記事項証明書等の交付一通につき一、 〇〇〇円。ただし、一通の枚数が一〇枚を超 えるものについては、一、〇〇〇円にその超 える枚数五枚までごとに二〇〇円を加算した額
②後見登記等ファイル等に記録がないことを証明した登記事項証明書等の交付一通につき五〇〇円 ③登記申請書等の閲覧一事件に関する書類につき五〇〇円 イ国又は地方公共団体の職員が職務上請求する場合には、アの手数料を納めることを要しないこととされた(登記手数料金第七条)。
第四 審査請求
一 審査請求書の提出
登記官の処分を不当とする者は、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができることとされ、登記官を経由して、審査請求書を提出しなければならないこととされた(法第一三条第一項、 第二項)。 登記官が審査請求書を受け取ったときは、登記事務日記帳に所要の記載をし、請求書にその年月日及び日記番号を記載するものとする。
二 登記官の処分
登記官は、審査請求を理由があると認めるときは、 相当の処分をしなければならたいこととされた(法第一三条第三項)。 登記官は、この処分をしたときは、却下決定の取消決定書その他処分の内容を記載した書面を二通作成して、その一通を審査請求人に交付又は送付するものとし、他の一通を審査請求書類等綴込帳中審査請求書の編てつの箇所の次に編てつするものとする。 この場合には、登記官は、当該処分の内容を別紙第11号様式又はこれに準ずる様式による報告書により貴職に報告するものとする。
三 審査請求書の送付
登記官は、審査請求を理由がないと認めるときは、 三日以内に、意見を付して事件を監督法務局又は地方法務局の長に送付しなけれぼならないこととされた(法第一三条第四項)。 この場合の送付は、別紙第12号様式又はこれに準ずる様式による送付書に意見を付してするものとする。 この場合には、審査請求書のほか、審査請求に係る却下決定書の写し、登記事項証明書又は登記申請書の写しその他審査請求の理由の有無を審査するのに必要な関係書類を送付し、審査請求書及び送付書の各写しを、日記番号の順序に従い、審査請求書類等綴込帳に編てつするものとする。
四 審査請求の裁決
(1)監督法務局又は地方法務局の長は、審査請求を理由があると認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか利害関係人に通知しなければならないこととされた(法第一三条第五項)。 裁決書は、別紙第13号様式又はこれに準ずる様 式によるものとし、貴職において審査請求につき 裁決をしたときは、その裁決書の写しを添えて当 局にその旨を報告し、その裁決書の謄本を審査請求人及び当該登記官に交付するものとする。
(2)登記官は、裁決書の交付を受けたときは、登記事務日記帳に所要の事項を記載し、審査請求書類等綴込中当該審査請求書の写しの次に編てつするものとする。 五監督法務局又は地方法務局の長の命令による登記登記官は、監督法務局又は地方法務局の長の命令によって登記をするときは、その旨並びに命令及び登記の年月日をも記録しなけれぼならないこととされた(省令第二四条)。
第五 後見登記等ファイル等の記録等の保全等
一後見登記等ファイル等の記録のバックアップ及び減失の回復
(1)登記官は、後見登記等ファイル等に記録した事項と同一の事項の記録(以下「バックアップデー タ」という。)を備えなければならないこととされ、後見登記等ファイル等の記録の全部又は一部が減失したときは、バックアップデータによってこれを回復しなければならないこととされた(省令第四条)。
(2)ア後見登記等ファイル等の記録の全部又は一部が減失した場合において、バックアップデータ によってもこれを回復することができないときは、法務大臣は、登記官に対し一定の期問を定めて、登記の回復に必要な処分を命ずることができることとされた(令第三条)。 この場合において、登記官は、遅締なく、その事由、年月日及び滅失した後見登記等ファイル等の記録その他令第三条の処分をするのに必要な事項を記載し、かつ、回復登記の期間を予定し、監督法務局又は地方法務局の長に対して申報しなければならないこととされた(省令第三条第一項)。
イ監督法務局又は地方法務局の長は、アの申報を受けたときは、相当の調査をした後、法務大臣に具申したけれぼならないこととされた(省令第三条第二項)。
二 後見登記等ファイル等の持出禁止
後見登記等ファイル等及び登記中請書等は、事変を避けるためにする場合を除き、登記所外に持ち出してはならたいこととされた(省令第一条本文)。 ただし、登記申請書等については、裁判所から命令又は嘱託があったときは、その関係がある部分に限り、送付しなければならないこととされた (省令第一条ただし書、第二条)。 登記申請書等を送付した場合には、当該命令書又は嘱託書及びこれらの附属書類を、登記申請書 類綴込帳中の送付した書類の編てつしてあった箇所に編てつし、送付した書類が返還されたときは、 当該書類を命令書又は嘱託書の次に編てつするものとする。 登記官は、事変を避けるため後見登記等ファイル等及び登記申請書等を登記所外に特ち出したときは、速やかに、その旨を貴職に報告するものとする。
三 後見登記等ファイル等の記録等の保存
(1)ア登記所は、後見登記等ファイル等の記録等を次の区別に従って保存しなけれぼならないこととされた(省令第五条)。
①後見登記等ファイルの記録 永久
②閉鎖登記ファイルの記録閉鎖した日から 三〇年間
③受付帳の記録当該年度の翌年から五年間
④登記申講書等受付の日から五年間
⑤登記申請事件以外の事件の申請書類受付 の日から一年間
イ登記申請書等は登記申請書類綴込帳に、登記申請事件以外の事件の申請書類は証明書交付申請書等綴込帳に編てつするものとする。
(2)登記所には、(1)のほか、次に掲げる帳簿を備えるものとし、その様式及び保存期間は、次のとおりとする。
①決定原本綴込帳 適宜の様式 五年
②返戻通知書綴込帳 適宜の様式 二年
③審査請求書類等綴込帳 適宜の様式 五年
④登記事務日記帳 別紙第14号様式 五年
⑤登記印紙償還関係書類綴込帳 適宜の様式 五年
⑥登記関係帳簿保存簿 適宜の様式 永久
⑦統計表綴込帳 適宜の様式 一〇年
⑧雑書綴込帳 適宜の様式 二年
(3)登記所で保存期問が経過した(1)アの記録等及び (2)の帳簿を廃棄しようとするときは、目録を作り、 貴職の長の認可を受けるものとする。
第六 その他
一登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族 (配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。) が申請人であるときは、当該登記官は、登記をすることができないこととされた(省令第二五条第一項前段)。 登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族が申請人を代表して申請するときも、同様である(同項後段)。
二登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族が成年被後見人等、成年後見人等、成年後見監督人等、 任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人、職務代行者、後見命令等の本人若しくは財産の管理者又はこれらの者であった者であるときは、当該登記官は、登記をすることができないこととされた(省令第二五条第二項)。
第1号様式
第2号様式
第3号様式
第4号様式
第5号様式
第6号様式
第7号様式
第8号様式
第9号様式
第10号様式
第11号様式
第12号様式
第13号様式
第14号様式
以上各様式省略