開閉式の屋根を有する野球場の床面積の算定方法について 平成五年十二月一二日民三第七、四九九号民事局第三課長回答(平成五年八月二十五日福岡法務局民事行政部長照会)

平成五年十二月一二日民三第七、四九九号民事局第三課長回答(平成五年八月二十五日福岡法務局民事行政部長照会)開閉式の屋根を有する野球場の床面積の算定方法について

 左記の開閉式円形ドーム屋根付きの主に野球場として利用される建物につき、近く表示の登記の申請がなされる見込みでありますが、当該建物のうちドーム部分の床面積の算定につきましては、左記二の構造により開閉式円形ドーム屋根の開閉(旋回移動する部分)できる屋根相当部分は工作物とみなし、不動産登記事務取扱手続準則第一四一条第三号の規定により固定式屋根部分の下にある観覧席部分についてのみ、それぞれ各階の床面積に算入することとし、フィールド部分(固定式屋根の下に当たる部分も含む。)と、可動屋根の下に当たる観覧席部分については、これを床面積に算入しない取扱いで差し支えないものと考えますが、可動屋根部分の下に当たる観覧席はもちろんフィールド部分についても床面積に算入すべきとする反対意見もあり、いささか疑義がありますので、何分の御指示
を賜りたく関係資料を添えて、照会いたします。
 なお、本件建物の種類につきましては、左記三のとおり多目的に利用されますが、フィールド等は野球を主にした施工がされており不動産登記法施行令第六条の規定により「野球場」と認定してはいかがかと考えますので、併せて御指示下さるようお願いいたします。

一 本件建物は、「福岡ドーム」と称し、建築面積は七万二、七四〇平方メートル、そのフィールドの面積は約一万三、五〇〇平方メートルであり、その周囲を観覧席、駐車場のほか、楽屋、控室、野球スポーツ関連施設、観客用諸施設二一六室を備える鉄骨コンクリート造七階建の円形の建物で囲われ、その屋根は、開閉式ドームになっている。

二 屋根部分の構造について
 1 開閉式屋根は、最大直径二二ニメートルであり、全重量は約一万二、OOOトンの扇形をした三枚の鉄骨構造パネルで構成されており、各パネルの厚さは四メートルで、その面積は三枚の合計で約五万平方メートルあり、その表面素材は厚さ○・三ミリメートルのチタン板が使用されている。
 なお、台風や地震時におけるパネル相互の上下方向の接触、衝突を防止するため、三枚の屋根パネル頂部には、制震ダンパーが設けられている。
 また、各パネルとも安定性を高めるためパネルの下両端を左右に鷹の翼のように広げた構造となっている。
 2 三枚のパネルは、上段、中段、下段の三層に分かれており、重量は、上段が四、二〇〇トン中段が四、○○○トン下段が三、八○○トンである。下段のパネルが固定屋根で、ドーム型屋根の開閉は、上段のパネルと中段のパネルの二枚が左右にそれぞれ一二〇度旋回移動することによって行われる。
 3 屋根の開閉に要する時間は、全開、全閉ともに二〇分を要し、全開時の開放率は約六〇パーセントである。
 4 野球試合等の開催時におけるドーム屋根の開閉は原則的に開時の状態を通常とし、雨天時とイベントによってその必要がある場合に閉じた状態にするというのがドーム球場所有者の考えである。

三 施設の利用について
 本件野球場は、野球のみに利用されることなく、他の球技及び各種のイベントにも利用する目的で設計建築されたもので、その設備もなされている。すなわち、フィールドの両翼の可動席(野球時の観覧席)を移動することにより、フィールドの形を野球場からフットボール競技場用に容易に切り替えることができ、かつ、フィールドにトラックを特設するたどして、各種イベントの会場として使用できるのみでなく、日本最大級のコンサートホールにも利用でき、これら以外にも広いスペースを必要とするあらゆる催物の会場としても利用でき、全天候型の特質を生かし、日程を気象条件に左右されることなく実施されるよう設備が整備されている。なお、本件野球場は、店舗等も併設され、特に一階、二階部分は駐車場であり、多岐にわたっての種類を兼ね備えている。

四関係書類(省略)

(回答) 本年八月二五日付け不登第二五一号をもって照会のあった標記の件については、開閉式屋根の開閉可能部分の下に当たる観客席及びフィールド部分の面積も床面積に算入すべきものと考えます。
 なお、当該建物の種類については、その主たる用途が「野球場」と認められる場合には、そのように認定して差し支えないものと考えます。