弁護士法第三二条の二に基づく照会(処分禁止の仮処分の登記後にされた地方税の滞納処分に基づく差押登記の効力)について 平成十一年三月十九日三弁発照津第二二九号三重弁護士会会長照会、平成十一年七月二十一日付け法務省民三第一四六九号民事局第三課長回答

弁護士法第三二条の二に基づく照会(処分禁止の仮処分の登記後にされた地方税の滞納処分に基づく差押登記の効力)について
平成十一年三月十九日三弁発照津第二二九号三重弁護士会会長照会、平成十一年七月二十一日付け法務省民三第一四六九号民事局第三課長回答

(照会)
一事実の概要
①Cは、本件土地の所有名義人であったところ、Aの夫であり、B、Cの父であるDが死亡した。Dの妻であるAとDの長女であるBは、本件土地の購入代金はDが支払ったものであり、本件土地はDの遺産であり、既に遺産分割の合意もあるとして、Cに対し、各三分の一について真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続訴訟を提起しようとし、その前提として、別紙登記簿参欄にあるように、所有権の一部三分の二について処分禁止の仮処分をし、その登記を了した。
②次に、都税事務所が、本件土地について差押をし、その登記を了した。
③続いて、AとBは、Cに対し、①に述べた真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続訴訟及び共有物分割訴訟(形式的競売)を提起し、それぞれ勝訴し、それら本案に基づいて、別紙登記簿五欄、六欄の登記がされた。
④別紙登記簿六欄の競売手続において、裁判所により、続行決定がされた。

二一の事実を前提として、次の点について照会する。
①本件土地を現実に適正価格で売却するには、参欄の仮処分を取り下げ、仮処分登記を抹消する必要があるところ、参欄の仮処分登記を抹消すると、四欄の差押の効力により、五欄の所有権移転の効力、登記ひいては、六欄の差押、登記、競売開始の効力が無効になるのか否か。
②東京都の協力を得ることができるとすれば、四欄の差押の登記をC持分の差押と更正登記することができるか否か。

(回答)平成一一年三月一九日付け三弁発照津第二二九 号をもって照会のあった標記の件について、下記のとおり回答します。

順位五番の所有権一部移転の登記により、順位三番の仮処分の登記の目的が達成されたのであれば、「仮処分による一部失効」を登記原因として、東京都の協力を得て順位四番の差押えの登記をC持分に対する差押えとする更正の登記をした上、民事保全規則第四八条により、当該仮処分の登記の抹消の嘱託の申立てをするのが相当である。