弁護士法第三二条の二に基づく照会(農業団体法の施行により解散した産業組合を抵当権者とする休眠抵当権の抹消登記手続)について 平成十一年三月十六日平成十年度岐弁照発第四〇五号岐阜県弁護士会会長照会、平成十一年六月十五日付け法務省民三第一二〇〇号民事局第三課長回答

弁護士法第三二条の二に基づく照会(農業団体法の施行により解散した産業組合を抵当権者とする休眠抵当権の抹消登記手続)について
平成十一年三月十六日平成十年度岐弁照発第四〇五号岐阜県弁護士会会長照会、平成十一年六月十五日付け法務省民三第一二〇〇号民事局第三課長回答

(照会)
一 別紙登記目録記載の抵当権を不動産登記法第一四二条の規定によって簡便に抹消することはできないか。
二 一の方法によって抹消することができない場合でも、 その他の方法によって簡便に抹消する方法はないか。
三 一及び二の方法によって抹消することができない場合には、どのような方法によって抹消することができるのか。
(事件の概要及び照会の理由)
 依頼者は、土地を相続したが、その土地には別紙登記目録記載の抵当権が設定されていた。
  ところが、抵当権者の保証責任A信用販売購買利用組合については、昭和一九年五月二日、農業団体法(昭和一八年法律第四六号)の施行に伴い、B農業会が成立し受命法人につき解散との登記がされている。その後、B農業会は、昭和二三年八月一五日、農業協同組合法の制定に伴う農業団体の整理等に関する法律(昭和二二年法律第一三三号)第一条第三項の規定により解散した。しかし、B農業会については、解散したものの、清算が結了したとの登記はされていない。その上、清算人はすべて死亡し、現在は清算人がいない。
 こうした状況下では、清算人を裁判所で選任してもら って同人を相手に抹消登記請求訴訟を提起して判決をも らえば、別紙登記目録記載の抵当権の抹消の登記をすることができるのではないかと考える。
 しかし、清算が結了していないからといっても、B農業会が解散して既に五〇年ほど経過しているので、実質的には被担保債権が存在しているとは考えられない。また、被担保債権が存在していることを前提にして現在の債権額を計算しても、その金額は、現在ではわずかなも のであり、抹消の登記に要する費用の方がはるかに多い と考えられる。こうした状況を踏まえた場合、いたずら に上記の方法を履行することは、全く無駄なものであって、不必要なことと考えられる。
  そこで、不動産登記法第一四二条の規定その他の根拠 によって本件抵当権を簡便に抹消する方法がないかを照会する。

(別紙)
順位番号一付一付二
 抵当権設定
   大正一四年七月七日受付第一〇〇〇号
   原因 同月一日設定
   債権額 金二〇〇円
   利息 元金一〇〇円につき日歩金三銭
   抵当権者 ○○郡○○町○○番地
          保証責任A信用販売購買利用組合
順位番号一付記一号
  一番抵当権変更
  昭和一〇年四月四日受付第五〇〇号
  原因 昭和一〇年三月三日一部弁済
  債権額 金八○円
順位番号一付記二号
 一番抵当権変更
   昭和一〇年四月四日受付第五〇一号
   原因 昭和一〇年三月三日変更
   利息 年七分五厘
   損害金日歩金二銭

(回答)平成一一年三月一六日付け平成.一〇年度岐弁照第四〇五号をもって照会のあった標記の件について、下記のとおり回答します。

一 照会事項一について
本件照会に係る抵当権について、不動産登記法第一四二条に基づく抵当権の抹消登記の申請をすることはできない。
二 照会事項二について
利害関係人である抵当権設定者からの申請により、 農業団体法施行令(昭和一八年勅令第七一三号)第五四条第二項の規定に基づいて裁判所が選任した清算人 が、抵当権を保証責任A信用販売購買利用組合からB 農業会へ移転する登記をした上で、当該清算人と共同 で抵当権の抹消登記を申請するのが相当である。
三 照会事項三について 照会事項二に対する回答により了知されたい。