弁護士法第二三条の二に基づく照会(抵当証券の発行されている抵当権の抹消登記手続)について 平成十一年七月十三日横弁照九九-〇〇四五四号横浜弁護士会会長照会、平成十二年一月五日付け法務省民三第一六号民事局第三課長回答

弁護士法第二三条の二に基づく照会(抵当証券の発行されている抵当権の抹消登記手続)について
平成十一年七月十三日横弁照九九-〇〇四五四号横浜弁護士会会長照会、平成十二年一月五日付け法務省民三第一六号民事局第三課長回答

(照会)
一 抵当証券の発行されている抵当権の抹消登記(前提として債務不存在確認請求のなされる場合である。)請求を行う場合、主文は次のとおりで良いか。
「被告は、別紙物件目録記載の土地について、別紙登記目録記載の抵当権設定登記の抹消登記手続をせよ。」
二 抵当証券の所持人・裏書人が存在することから、不動産登記法第一四六条一項尚書の適用があるとした場合、所持人・裏書人に対する承諾請求訴訟が必要と考えられるが、この時、前記一にいかなる内容の主文を追加すれば抹消登記が可能か。
三 不動産登記法第一四六条二項によれば、抹消登記には抵当証券を添付することが必要とされるが、前記一、 二の内容の判決を取得していたとしても、抵当証券の添付が必要か。 必要とした場合は、抵当証券の交付請求を判決で取得した上、強制執行して証券を入手しないと、抹消登記自体不可能か。
四 抵当証券所持人が不明の場合においては抹消登記請求が実質的にできないのか。又は、なんらかの手段があるのか。

(回答)
平成一一年七月一三日付け横弁照九九-〇〇四五四号をもって照会のあった標記の件について、下記のとおり回答します。

一 照会事項一について
 「被告は、原告に対し、別紙目録記載の土地について、 ○○法務局○○出張所平成何年何月何日受付第何号 (又は別紙登記目録記載の)抵当権設定登記の平成何年何月何日○○を原因とする抹消登記手続をせよ。」 との主文が相当と考える。
二 照会事項二について
 「被告○○は、原告に対し、前項の抹消登記手続を承諾せよ。」との主文を追加するのが相当と考える。 なお、債権全部の消滅により抵当権の登記を抹消する場合には、裏書人は利害関係人に当たらないものと考える。
三 照会事項三について
 判決により抵当権の登記を抹消する場合であっても、 抵当証券の添付は必要であると考える。ただし、除権判決を得て抵当証券の付記登記を抹消した場合(不動産登記法施行細則第四四条ノ一八参照)には、抵当証券を添付することなく、一の判決を添付して所有権の登記名義人が単独で抵当権の抹消の登記を申請することができるものと考える。
四 照会事項四について
 三により了知されたい。