保険契約の包括移転に伴う不動産登記事務の取扱いについて(平成12年2月18日民3第438号回答)
(依命通知)標記の件について、別紙甲号のとおり東邦生命保険相互会社保険管理人から民事局長あて照会があり、別紙乙号のとおり回答されたので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。
(別紙甲号)東邦生命保険相互会社は、平成一一年六月 四日、金融再生委員会から業務一部停止命令が下され、 同年六月五日に金融再生委員会は、東邦生命保険相互会社に対し、保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分を行うため、保険管理人を選任し、保険契約の移転を定める計画の作成を命令しました。保険管理人は、 東邦生命保険相互会社の保険契約につき契約条件を変更し、GEエジソン生命保険株式会社に移転を行う計画を策定し、当該計画に従い、平成一一年一二月二二日にGEエジソン生命保険株式会社との間で保険契約等移転契約を締結いたしました。当該契約は、金融再生委員会の移転認可日(平成一二年二月二四日認可予定、同年三月一日移転予定),をもって効力が発生し、資産及び負債を GEエジソン生命保険株式会社に移転することから、所有不動産の所有権移転登記、担保不動産の(根)抵当権の移転登記が必要となるものであります。
つきましては、下記事項につき事前に確認申し上げま す。
記
一 保険契約の移転は、移転会社及び移転先会社の双方における株主総会、社員総会又は総代会(以下「株主総会等」という。)の決議が必要とされ(保険業法第一三六条第一項)、かつ、金融再生委員会の認可を受けなければ効力を生じない(保険業法第一三九条第一項)が、金融再生委員会の認可の際には、株主総会等の決議を経ているか否かが当然に判断の対象とされることから、不動産登記法第三五条第一項第四号の書面としては、金融再生委員会の認可書を添付することとし、株主総会等の議事録は添付しないこととして差し支えないか。
二 上記一によることとした場合、金融再生委員会の認可書の原本に代えて、認可書の謄本に相違ない旨の金融監督庁監督部長の証明が付された認可書の謄本を添付することとして差し支えないか。
三 保険業法第二四一条の規定による処分を受けた保険会社(以下「被管理会社」という。)が、登記申請人であるときは、同法二四二条の規定に基づき選任された保険管理人(****、****及び社団法人生命保険協会理事****)が共同代表となっているので、保険業法第二四八条第一項の規定により保険管理人が退任するまでは、被管理会杜に係る権利に関する登記申請は保険管理人が行うこととして差し支えないか。
四 保険管理人の退任後は、被管理会杜の清算人が登記由請を行うこととして差し支えないか。
五 上記三により、保険管理人が登記申請人となる場合
①登記義務者の権利に関する登記済証については、 破産管財人の場合に準じ、添付を要しないものと解して差し支えないか。
②保険管理人の代理権限を証する書面として、被管理会社の登記簿の謄本又は抄本若しくは資格証明書 (管理を命ずる処分及び保険管理人の登記があるものに限る。)及び保険管理人が法人である場合には当該法人の代表者の資格を証する書面を添付することでよいか。
③不動産登記法施行細則第四二条の規定により添付すべき登記義務者の印鑑証明書は、保険管理人の印鑑証明書と解してよいか。また、そのように解した場合、商業登記法第二〇条の規定により、被管理会社の登記の申請書に押印すべき者の印鑑として登記所に提出された印鑑に係る印鑑証明書を添付することとして差し支えないか。 以 上
(別紙乙号)二月一六日付けをもって照会のあった標記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えないものと考えます。 なお、この旨法務局長及び地方法務局長に通知したので、申し添えます。